平成27年度 七飯町施政方針
七飯町長 中宮 安一
1 はじめに
平成27年第1回七飯町議会定例会の開会に当たり、本年度の町政執行に臨む基本姿勢と施策の一端を申し述べ、町議会の皆様をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。昨年4月13日に行われました町長選挙において、町民の皆様より温かいご支援、そして多大なるご支持をいただき3期目の町政運営を担わせていただいてから、町長就任10年目の節目を迎えることになりました。
これまで、町議会の皆様をはじめ、町民の皆様にいただいたご指導ご支援に、改めて感謝を申し上げます。
さて、昨年を振り返りますと、消費税率の8パーセントへの引き上げによる反動や極度の円安の影響により景気が停滞し、特に地方では景気好転の兆しが見えない1年でありました。
また、広島市の局地的豪雨による土石流や御嶽山の噴火などで多くの犠牲者が出るなど、災害対策に大きな教訓を残した1年でもありました。
幸いにして、七飯町では、大きな災害も無い1年ではありましたが、春先は雪解けが遅く降水不足、夏は日照不足で冷夏など、天候不順が原因で農作物の生産や品質に影響が出ましたが、一方で明るい話題もありました。
10月13日に北海道新幹線H5系の車両が北海道に初上陸し、11月1日には九州鹿児島までの約2,150キロメートルが一本のレールで繋がりました。開業まであと1年と迫り、北海道新幹線開業効果を最大限に享受し、生かす取組を進めてまいります。
また、5月に国立社会保障・人口問題研究所による2040年の将来推計人口が示され、大きな衝撃を受けました。七飯町においても約7千人減少し、約21,500人となる人口推計であります。
人口減少対策は、急務を要する喫緊の最重要課題の一つであることから、少子化対策としての子育て支援や雇用確保のための地域活性化対策を有機的に結合できるような対策を講じて、賑わいのあるまちづくりを進めてまいります。その際には、関係団体や町民の皆様との対話を中心に第5次七飯町総合計画に反映してまいります。
北海道新幹線の開業を平成28年(2016年)3月に控え、さらに大沼国定公園が新日本三景に選ばれてから100年を迎えます。このように七飯町は節目の時期となり大きな転換期に入り、その後も北海道縦貫自動車道の峠下地区までの延長も予定されるなど、七飯町が持つ限りない可能性に“夢と希望”を馳せつつ、「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の実現に向けて、町議会の皆様及び町民の皆様と英知を結集し、明るい未来を築けるよう努めてまいりますので、お力添えの程宜しくお願い申し上げます。
2 町政に臨む基本方針
明るい“夢と希望と可能性”に溢れた「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の主役は、町民の皆様です。これからも、町民目線での行財政運営を進めるため、出前町長室などを通じて、町民の皆様との対話を積み重ねながら、また、国における、まち・ひと・しごと創生の推進体制が整備されたことを踏まえ、急激な人口減少社会における地方創生に向けた七飯町の人口ビジョン及び総合戦略並びに平成28年度から新たなステージが始まる第5次七飯町総合計画を策定してまいります。
本年度の予算については、地方創生に向けた喫緊の事業や課題を抱えている事業の優先順位を見極め、近年にない一般会計113億3千万円の大型予算となりました。詳細については、主要施策でご説明申し上げますが、予算編成に当たり、特に留意した点を申し述べます。
1点目として、北海道新幹線開業効果を最大限に享受し、生かすことであります。
具体的には、峠下地区に想定する「道の駅」が、国の地方創生の目玉政策のひとつである「重点候補」に選ばれたことから、国の支援を受けながら基本計画を策定してまいります。このことにより、交流人口の増加が図られ、七飯町の基幹産業であります農業と観光の発展、さらには既存飲食店の活性化、雇用創出、企業立地をもたらすことに期待をしております。また、新幹線函館総合車両基地の隣接地に水害対策の拠点施設として、(仮称)水防センターを建設し、周辺の災害に備えるほか、北海道新幹線開業後の有効活用も併せて検討いたします。
2点目として、少子化及び人口減少問題への対応であります。
少子化及び人口減少問題の対策として最も効果的な対策は、子どもを安心して産み育てることができる「まち」にすることであり、子育てを考える上で一番大切なのは、安全で安心な教育環境の整備と保健福祉の充実であります。
教育環境の整備では、老朽化し耐震強度が不足している大中山小学校の改築に着工します。本年度は、災害時の避難施設にもなる屋内体育館の建設に着工いたします。
さらに、七重小学校の一部の校舎も老朽化し耐震強度が不足していることから、耐震補強工事に着手します。
また、4月からは、新学校給食センターで調理された安全で安心な給食を提供するほか、学力向上のための授業をサポートする学習支援員を試験的に配置してまいります。
子育てには、多額の費用が掛かります。特に若年家庭では大きな負担となっています。七飯町では、これまでも15歳までの医療費の無料化や「こんにちは赤ちゃん訪問事業」、子育て支援センターの育児相談、育児サークル支援及び学童保育の開設などを行っておりますが、本年度からは18歳までの子どもの医療費を無料とし、さらに保育料を国の基準から10パーセント程引き下げるほか、七飯町育英基金条例に基づく奨学金の額を拡充します。
今後も、安全で安心な子育て環境の創出と七飯町に住んで良かったと喜んでもらえるような対策を講じ、人口減少に歯止めが掛かるよう努めてまいります。
3点目として、当面の地域活性化対策について述べてまいります。
この度、国の地方創生の一環として、疲弊した地方の消費喚起を目的に、国と北海道から地域住民生活等緊急支援のための交付金が交付されます。
消費喚起への活用と使途に制限があることから、プレミアム付きアップル商品券を発行し、町内の消費拡大を行い、地域の活性化を図ります。経済効果を約3億円と試算し、広範囲に町内が潤うように発行してまいります。
以上、述べさせていただきました3点以外にも生活基盤、環境保全、保健・医療・福祉、教育・文化、産業振興、行財政など多岐にわたり創意工夫し、予算を編成いたしました。詳細については、予算審議の際に、ご説明申し上げてまいります。
3 主要施策の推進について
本年度の主要施策については、町政運営の指針であります第4次七飯町総合計画の施策の大綱に基づいてご説明申し上げます。第1 くらし充実・のびのび安心のまちづくり
第1は、交通ネットワークの整備や安全・安心の確保など、生活基盤に関する分野です。はじめに、交通ネットワークについて述べてまいります。
北海道新幹線は、平成28年3月の開業に向け、新函館北斗駅や函館総合車両基地の建設も着々と進捗し、新幹線車両も試験走行が実施されています。
本年度は、開業に向けた事業を展開するほか、新函館北斗駅からの2次交通の確保に努めてまいります。また、5年短縮されましたが、さらに札幌までの早期開業に向け、関係機関とともに要望してまいります。
通勤や通学など生活に欠かせない鉄道や路線バス等の公共交通については、路線の確保に努めるとともに、高齢者や障がい者等の交通弱者の交通手段についても関係機関の協力を得ながら研究してまいります。
次に、道路及び河川の整備について述べてまいります。
町道については、北海道新幹線関係の付道新設や大中山9号線の整備を継続し、新たに飯田町8号線の整備に着手するほか、橋梁などの長寿命化を進めてまいります。
また、北海道縦貫自動車道については、大沼公園インターチェンジから七飯インターチェンジまでの早期着工に向けた要望を行うとともに、併せて国道5号の交通安全対策として片側2車線化を要望してまいります。道道については、大沼公園鹿部線、大沼公園線及び大野大中山線の整備促進について、関係機関に対し引き続き要望してまいります。
河川については、2河川での維持補修等を実施するほか、北海道が事業主体の久根別川、大沼、藤城川、蒜沢川及び軍川の整備促進、また、水無沢川の新規事業着手について、引き続き関係機関に対し要望してまいります。
次に、住宅・市街地の整備について述べてまいります。
七飯町公営住宅長寿命化計画を基に「冬トピア団地」の3棟目の改修工事を引き続き実施するほか、定住対策については「ななえ空き家・空き地バンク」制度の活用を促進し、北海道新幹線開業を契機に北関東をはじめとする首都圏などからの移住定住促進を図るため、相談会の開催と短期滞在用体験住宅や民間宿泊施設を活用した「ちょっと暮らし体験事業」を継続して実施してまいります。
次に、交通安全・防犯について述べてまいります。
交通弱者といわれる児童・生徒・高齢者の交通安全教育の徹底を図るとともに、事故防止のため、家庭、学校、地域及び関係団体との連携を深め、総ぐるみの交通安全運動を推進してまいります。
防犯については、全ての町民が犯罪や事件・事故に巻き込まれることのないよう、被害の未然防止に向け、警察、地域、関係団体等との連携を一層密にし、安心して暮らせるまちづくりを目指してまいります。さらに、自然環境への配慮・節電対策も併せて、LED外灯の新設・交換費用に対し活力のあるまちづくり推進基金を活用し、助成してまいります。
次に、消防・防災対策について述べてまいります。
昨年も日本各地において台風や爆弾低気圧による豪雨や洪水被害が相次ぎ、さらには大規模な土石流も発生し、多くの方が犠牲となったほか、御嶽山の噴火により多くの登山者が犠牲となりました。
七飯町においては、大雨や強風に見舞われたこともありましたが、幸いに被害も限定的で大きな影響はありませんでした。
今後も、「災害は必ずやってくる」ことを常に念頭に置き、町内全域への防災行政無線の設置の検討をはじめとして、非常食などの備蓄品の増強、噴火災害に備える避難訓練の実施、関係機関との情報の共有化を図るほか、駒ヶ岳登山者の安全確保のための避難シェルター建設について、関係機関と協議の上、国へ要望してまいります。
また、水害対策としては、近年災害が多発している湯出川において、平成26年度末に完成する国道横断管の改良のほか、JR橋梁の架替についても平成27年度早期完成に向け、JR北海道と連携しながら実施してまいります。
さらに、近年の記録的な大雨により河川の氾濫が予想されることから、久根別川と鳴川の合流付近において、災害時の水防拠点となる(仮称)水防センターの建設に向けて、実施設計等を進めてまいります。
消防については、町民の生命と財産を守るための出動拠点として七飯消防庁舎を新築し、消防力の強化を図りました。
本年度は、小型動力ポンプ付積載車の更新、軍川地区に消火栓を新設するなど消防設備・水利設備の充実を図ってまいります。
第2 うつくしさ満喫・かいてき確保のまちづくり
第2は、自然と共生する環境づくりや快適な暮らしの維持・増進に関する分野です。はじめに、環境施策について述べてまいります。
ラムサール条約登録湿地の大沼の水質浄化対策については、「大沼ラムサール協議会」と「大沼環境保全対策協議会」との連携を密にし、透明度の高い大沼を目指してまいります。
具体的な対策として、苅澗川については自然浄化活用事業で設置した施設の検証結果で水質浄化に一定の効果が実証されていることから、浄化エリアの拡大について具体的な協議を行い、軍川については周辺からの濁水流入を緩和する施設の検証を行ってまいります。
また、北海道と連携して、湖水や流入河川の監視と測定を実施するとともに、大沼国定公園内の環境整備に努め、ヨシを植栽した浮島を設置し、魚類等の生息環境の保全にも取り組んでまいります。
環境学習については、これまで地元小学生で大沼ラムサール隊を編成し、大沼の自然環境の観察及び道内の他のラムサール条約登録湿地の子ども達との交流を実施してまいりました。貴重な経験となることから継続して取組を進めてまいります。
また、大沼の素晴らしい自然環境をアピールするとともに、大沼地区での環境に関する国際会議の開催を関係機関に働きかけてまいります。
次に、循環型社会の構築について述べてまいります。
廃棄物対策については、環境及び資源保護に配慮した循環型社会の構築を目指して、ごみの発生抑制・減量化、分別の徹底、不法投棄の撲滅に取り組んでまいります。
特に、使用済小型電子機器等の再資源化の促進と一般廃棄物最終処分場の延命化を目指し、役場本庁舎、大中山・大沼の両出張所でのボックス回収を実施してまいります。
町営墓地については、少子高齢化や核家族化に加え、生活様式や社会環境が大きく変化した現代社会に対応するため、町営の合同墓等の整備について具体的に検討してまいります。
次に、上下水道の整備について述べてまいります。
水道事業については、水需要の減少や水道施設の老朽化更新などにより経営に厳しさが増しております。加えて、技術職員の順次退職により、技術の継承が大きな課題となっております。
そのため、経営コストの削減と民間技術力の導入を図ることを目的に、昨年12月に設立した七飯管工事業協同組合に直営業務の委託化を進め、長期的に安定した水道事業の継続を目指してまいります。
また、集中豪雨時に発生する濁水対策として流入制御設備を新設するほか、簡易水道を上水道に統合する統合認可申請をしてまいります。
下水道事業については、中野地区・鳴川地区での管渠新設工事を実施するほか、大沼下水浄化センターでは計画流入量変更に伴う水処理方式等の見直しを進めるとともに、汚水脱水設備工事を実施してまいります。
また、下水道処理区域外における生活排水対策については、合併処理浄化槽の設置促進を図り、公共用水域の水質汚濁防止と生活環境の保全に努めてまいります。
次に、公園・緑地・景観について述べてまいります。
これまでも遊具設備の更新を実施してまいりましたが、引き続き大川地区の「みどり児童公園」の遊具の更新を進めるほか、ちびっこ広場等の老朽化した遊具についても利用ニーズを考慮し、撤去及び補修を進めてまいります。
第3 やさしさ溢れ・いきいき現役のまちづくり
第3は、保健・医療、福祉、子育てに関する分野です。はじめに、保健・医療の充実について述べてまいります。
成人保健については、各種検診事業を推進し、自らの健康の管理ができるよう、健康づくり教室や出前講座を実施し、健康への意識の高揚を図ってまいります。
具体的には、従来のがん検診に加え、胃がんの原因となるピロリ菌の早期発見と除去に向け、中学2年生を対象としたピロリ菌検査を実施してまいります。
母子保健については、乳幼児の健診を小児科医師により行い、疾病の予防と早期発見、健康の保持に努めるほか、妊婦健康診査を14回の公費負担とし、安心して出産できる環境づくりに努めてまいります。
また、歯・口腔の健康づくりの推進については、幼稚園、保育所等へのフッ化物洗口の普及に努めるほか、健康な体をつくる食習慣の大切さの理解を深めるため、食育教室を実施してまいります。
子育て支援としての乳幼児等の医療費無料化については、これまで助成対象年齢を15歳までとしておりましたが、「七飯町子ども医療費の助成」として対象年齢を18歳まで拡大し、子育て環境の充実を図るとともに、重度心身障がい者及びひとり親家庭の医療費助成についても北海道の基準に上乗せした医療費の助成を実施してまいります。
医療の体制については、ドクターヘリの運航開始に伴い、より一層関係機関と連携を強化し、高度な救急体制の確保に努めてまいります。
次に、高齢者福祉、介護保険、障がい者福祉の充実について述べてまいります。
福祉施策については、高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画、障がい福祉計画について見直しを行った総合保健福祉計画に基づいて実施してまいります。
また、身体の障がいや高齢などにより、一人での外出が困難で周囲に代行する人がいない方には、職員が自宅に出向いて住民票や戸籍、税務証明などの交付事務を行う住民票等宅配サービス(出前出張所)を実施してまいります。
ボランティアポイント事業については、より多くのボランティアが参加できるような仕組みづくりを検討するほか、社会福祉協議会、民生委員児童委員、町内会、事業所等との連携を一層深め、高齢の方や障がいのある方など、いわゆる社会的弱者と言われる方々が地域で孤立しない取組など、地域福祉の充実に努めてまいります。
高齢者福祉については、入浴割引や米寿、喜寿を迎える方には敬老祝品を、百歳を迎える方には敬老祝金を贈呈してまいります。
さらに、高齢者の自主的な組織である老人クラブや老人クラブ連合会、高齢者自らが企画したローレンピックなど、高齢者の自主的な活動に対する支援を行うとともに、組織への参加を働きかけてまいります。
介護保険事業については、本年度から始まる第6期介護保険事業計画により、今後も給付費の増額が見込まれることから保険料を見直してまいります。また、今後、予防給付の一部が日常生活支援総合事業に移行され、新しい予防事業を行わなければならないことから、事業内容について検討してまいります。
地域包括支援センターは、介護予防支援の対応のほか、ひとり暮らしや認知症高齢者の増加に伴い、医療、住居、生活支援及び予防サービスが地域で一体的に提供されるよう、町が主体となって「地域包括ケアシステム」の構築を目指してまいります。
また、地域包括ケアシステムや新しい介護予防事業を進めながら、地域包括支援センターの強化や運営のあり方についても、引き続き検討を行ってまいります。
障がい者福祉サービスについては、第4期障がい福祉計画に基づき、障がいのある方が地域生活を送るための自立支援、就労支援、当事者団体の活動支援などを進めるほか、障がいの特性に応じ、より適切なサービスを相談支援事業者やサービス事業者と連携し提供してまいります。
次に、子育て支援について述べてまいります。
「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、「七飯町子ども・子育て支援事業計画」に基づき、給付事業・支援事業を実施してまいります。
具体的には、教育・保育施設、地域子育て支援事業等の情報提供及び必要に応じて相談・助言を行うとともに、関係機関との連絡調整等を行う利用者支援事業を実施するほか、子育て支援の一環として保育料を国が定める金額の10パーセント程軽減してまいります。
「こんにちは赤ちゃん訪問事業」において、赤ちゃんの発育状況の確認、子育てに対する不安の軽減や子ども虐待の予防を図るほか、大中山地区と本町地区の「子育て支援センター」を地域の子育て支援の拠点として、子育てに関する相談や悩みの解消、育児サークルの活動支援を行い、大沼地区はちびっこ広場を開所するなど、子育て支援体制の充実を図ってまいります。
児童虐待防止については、早期発見、早期対応を行うため、関係機関との連携を図りながら、子育て支援ネットワーク会議を活用してまいります。
放課後児童健全育成事業については、町内7箇所の学童保育クラブにおいて、新制度により対象児童が小学校6年生まで拡大になり、地域のニーズに合わせた開所時間の延長等、放課後児童の安全・安心、健全育成、子育て支援など効果的な運営に努めるほか、町内3箇所の民間学童保育クラブの運営を支援してまいります。
病児保育については、「病児対応型」に加え、新たに保育所において体調を崩した児童を一時的に預かる「体調不良児対応型」を実施し、関係機関等とより一層協力体制を図ってまいります。
次に、国民健康保険特別会計について述べてまいります。
医療の高度化や被保険者の高齢化などにより医療費が増加しており、運営は厳しさを増しております。
そのため、医療費適正化対策については、レセプト点検の充実、第三者行為請求などのほか、ジェネリック医薬品利用促進に努めるほか、予防のための健診を積極的に推し進めるため、特定健診において受診勧奨や40歳と60歳の方の自己負担を引き続き無料とするなど、受診率の向上に努めてまいります。
さらに、従来から実施している人間ドック、脳ドック、高齢者インフルエンザ予防接種助成事業の継続など、病気の早期発見、早期治療により、増加する医療費の抑制に努め、国保特別会計の健全運営に努めてまいります。
第4 すくすく育ち・地域貢献のまちづくり
第4は、教育やスポーツなど、豊かなこころの育成に関する分野です。はじめに、学校教育について述べてまいります。
昨年6月20日に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」が公布され、本年4月1日から施行されます。
具体的には、
- 教育委員長と教育長を一本化した新「教育長」を町長が議会の同意を得て直接任命する。
- 教育長へのチェック機能の強化と会議の透明化を図る。
- 「総合教育会議」を設置し、学校の統廃合や小中連携などの重要事項の基本方針を決定する。
- 教育に関する「大綱」を町長が策定する。
学校整備については、安全で快適な教育環境を図るため、大中山小学校改築では屋内体育館を着工するほか、耐震強度不足を指摘されている七重小学校の一部の校舎についても、耐震補強・大規模改修工事に着工してまいります。
また、新学校給食センターについては、4月から安全で安心な給食の提供を開始いたします。
七飯町育英基金条例に基づいて運営されている奨学金制度については、月額の貸付額をそれぞれ5千円増額し、実施してまいります。
幼児・学校教育、生涯学習・スポーツ、青少年の健全育成などの教育行政方針については、教育長より詳細に示されますが、その方針を尊重してまいります。
次に、スポーツ合宿、国際交流について述べてまいります。
スポーツ合宿については、Jリーグサッカーチームの合宿実績や大沼公園周辺での実業団等による陸上合宿の実績を基に、北海道新幹線や高速道路網の利便性をアピールし、道内、東北、関東及び関西への誘致を進めてまいります。
国際交流事業については、本年度も中高校生の語学研修及び町民の文化交流事業推進のため、中高校生8名と町民代表3名をコンコード町に派遣してまいります。
また、夏の風物詩として定着した一般財団法人北海道国際交流センター主催の「国際交流夏のつどい」についても、異文化を理解する交流事業として実施してまいります。
第5 はつらつ働き・豊かさ実現のまちづくり
第5は、産業の振興や町の活性化に関する分野です。はじめに、農林水産業について述べてまいります。
農業を取り巻く状況として、豪州との経済連携協定(EPA)の発効、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)による農畜産物の輸入拡大と関税引き下げの交渉が進行しており、農家の不安と不満は増加しております。
農業は、七飯町の基幹産業であり、七飯町のブランドであるクリーン農業を推進し、産地の差別化及び高品質で安全・安心な農畜産物の安定生産を図り、農業経営の改善に努めます。
また、峠下地区の老朽化が進んでいる真空予冷施設については、施設建設に向けて、候補地を選定してまいります。
農業基盤整備については、昨年、地域の農業者で構成する団体が農道、用排水路等の維持・保全管理を行う場合に、定額助成が交付される日本型直接支払制度(多面的機能支払交付金)が国において創設されました。制度の積極的な活用を農業者に周知し、推進してまいります。
また、持続的な農業振興を図るため、人・農地プランの推進と積極的な各種補助事業の活用と併せ、地域の事業規模に応じた基盤整備等の実施を検討してまいりますが、本年度は道営事業により渡島東部地区基盤整備事業及び通作条件整備事業(広域農道改良)を実施してまいります。
畜産・酪農については、国の畜産クラスター関連事業の積極的な活用と夏場の安定的な乳量を確保するため、牛舎内に冷却ミスト装置をJAと連携して設置してまいります。
また、国内外での口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザが、未だ終息せず、当町でも豚流行性下痢(PED)の疑症が確認されたことから、自衛防疫組合や関係機関と緊密に連携を図り、畜舎の衛生管理、伝染病のまん延防止の周知徹底に努めてまいります。
林業については、林業従事者の高齢化や後継者不足等で適切な森林整備の遅れが懸念されていることから、関連施策を積極的に活用し、効率的な森林整備に取り組むとともに、今後、計画されている公共用建物等への地元産木材の利活用など、拡大を図ってまいります。
大沼の内水面漁業については、大沼環境保全対策事業と連携し、資源確保のために水質改善に努めてまいります。
次に、商工業及び労働政策について述べてまいります。
商工業については、依然厳しい経済状況にあり、商工業経営安定資金融資保証料補給金及び利子補給制度を継続し、経営安定と経営基盤を強化し、振興を図ってまいります。
具体的な振興策としては、地場産品の販路拡大はもとより、新規の特産品開発など「ななえ町物産振興協議会」を核に展開し、商・工・農業者が連携して七飯町産品のPR・特産品の開発及び販売促進を図る場所の開拓や再設置、物産イベント等への参加を継続するほか、この度、国において地方創生の先行策として、疲弊した地方の消費喚起を目的に、補正予算が可決され、平成27年度への繰越事業として交付金の交付が決定されました。
七飯町商工会との連携のもと、1万円のアップル商品券に30パーセントのプレミアムを付け、約22,000セット発行し、広範囲に町内が潤うよう発行時期、販売方法、利用先など創意工夫し、実施してまいります。
また、新たな起業化への取組として、優れた事業計画に対して、事業の実施に要する費用の一部を助成する「創業バックアップ助成金」を創設し、公益財団法人函館地域産業振興財団と協働のもと取り組んでまいります。
次に、企業誘致及び道の駅建設について述べてまいります。
企業誘致については、道内金融機関及び道内3自治体との共催により、食品工場等の立地及び進出を考える企業を対象とした首都圏でのセミナーに参加し、北海道新幹線開業及び北海道縦貫自動車道開通予定など交通の利便性を強調し、かつ、子育て支援の強化も併せたPR活動を展開し、新たな雇用の拡大と地域の活性化に努めてまいります。
さらに、交通結節点である峠下地区において、地域振興や七飯町の魅力を情報発信する西洋農業発祥の地をテーマとする「道の駅」の建設に向けた基本計画の策定を進めます。
次に、労働政策のうち雇用については、新幹線函館総合車両基地において、JR関連会社2社が事業所を開設し、合わせて約60名が業務に従事しております。今後も就労人口の増加が見込まれる中、地元雇用を要請してまいります。
次に、観光振興について述べてまいります。
観光の振興施策については、駒ヶ岳・大沼を中心とした自然景観のPRや地場産品の食を活かした体験メニューを創作するなど滞在型観光の推進に努めるほか、北海道新幹線開業効果を生かし、自然や食の魅力のPRに努めてまいります。特に、北海道新幹線開業関連のプロモーションとして、「函館・みなみ北海道グルメパーク」及び「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」に伴う「全国宣伝販売促進会議」及び「観光キャラバン」などへ積極的に参加してまいります。
また、大沼国定公園が、大正4年(1915年)に新日本三景に選ばれ、100年を迎えることから、実行委員会を設置し、先人のご尽力に敬意を表し、事業・催事などでPRをしてまいります。
観光客の受入体制の強化については、「一般社団法人七飯大沼国際観光コンベンション協会」、「環駒ヶ岳広域観光協議会」及び「大沼体験観光づくり実行委員会」などと連携し、観光ルートの造成やツールの整備、サイクルツーリズムの推進、観光ガイドの育成・整備や冬期間の体験観光メニューの造成など、魅力ある観光地づくりの推進に努めてまいります。
さらに、海外観光客の施策については、観光Webページや観光ガイドマップ、パンフレットなどの多言語化を進めるほか、アジア諸国に向けたプロモーション番組の制作・放映により、誘致の促進に努めてまいります。
第6 みんなで集い・着実に前進のまちづくり
第6は、豊かな地域づくりや効率的な行政運営に関する分野です。住民と行政による協働のまちづくりの指針として策定した第4次総合計画が本年度をもって終了することから、これまでの計画と実績を総括し、そして、新たなステージへと導く第5次総合計画を策定してまいります。
また、町民の視点で行政を執行することを踏まえ、出前町長室を実施し、町政の主役である町民の皆様の生の声をお聞かせいただく機会として、引き続き取り組んでまいります。
活力のあるまちづくりを進める上で重要なことは、町民と行政、議会が協力し合い、自ら考え行動し、汗を流す町民主体のまちづくりであると考えます。その代表的な事業として定着しました七飯町商工会が中心の夏の行事「あかまつ街道納涼祭」及び商工会青年部が中心の冬の行事「ちびっこ雪まつり」は、商工事業者や住民間の交流の場として発展するよう支援してまいります。
また、昨年、農業生産者と住民とのふれあい交流事業として開催されました「大沼べこっ子まつり」については、引き続き地域交流イベントとして確立してまいります。
行政経営については、部制導入に伴い行政の簡素化・効率化を図り、限られた予算で最大の効果を挙げることに努め、地域と行政の協働のもと行政改革を着実に進めるほか、町財政の根幹である町税については納税に対する意義の啓発や不公平感の解消のため、法に基づく的確な滞納整理に努め、未納金の縮減を目指してまいります。
また、国の「インフラ長寿命化基本計画」に基づき、資産台帳及び総合管理計画の策定に取り組んでまいります。
さらに、北海道から権限移譲されますパスポートの申請交付事務については、5月から本庁舎総合窓口で行い、利用者の利便性を図るほか、戸籍システムの機器更新に当たり、七飯町、松前町、知内町、鹿部町、江差町及び奥尻町の6町で機器を共有し、導入経費及び管理経費の削減並びに災害時などにおける戸籍管理の安全性を図ります。
10月から社会保障分野や税分野などで個人番号の利用が開始されますマイナンバー制度については、個人情報等に留意しながら準備作業を慎重に進めてまいります。
4 むすび
以上、平成27年度の町政執行についての所信と主な施策の概要について、述べさせていただきました。行政の使命は、町民の皆様の安全で安心な暮らしを保障し、より良いものにしていくことであり、このことはいつの時代においても変わるものではありません。
町長に就任してから、町民の皆様は何を求めているのか、町民の皆様が幸せに暮らしていくためには何をすべきなのか、常に町民の目線に立った行政運営に努めてまいりました。
今後においても、町民と行政の協働により、また、それぞれの役割を補完し合う町政運営を基本として歩みを進めていくことが「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の実現への近道であると確信しております。
現在の国政は、将来の少子化及び人口減少が大きくクローズアップされたことにより、地方創生の大号令のもと、これまでの政策から大きく転換しつつありますが、七飯町も平成27年度は北海道新幹線の開業と大沼国定公園が新日本三景選定100年を迎える節目であり、七飯町の転換期・活性期であろうと考えます。
七飯町は、新幹線函館総合車両基地の雇用などにより、平成22年(2010年)より5年連続の転入超過と恵まれた状況にあるものの、25年後の将来人口は約21,500人と推定されております。現在の状況に甘んずることなく、子育て支援策の拡充や「道の駅」建設など、北海道新幹線開業効果を最大限に享受し、さらに生かす政策を実行することにより、地域の活性化が図られ、人口減少に一定の歯止めが掛かるものと考えます。
町民の皆様の暮らしを守るためには、果敢に行政運営を推し進めていかなければなりませんので、町議会の皆様及び町民の皆様のご理解、ご協力を切にお願い申し上げ、本年度の施政方針といたします。
PDF平成27年度七飯町施政方針 (443.1KB)
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