平成28年度 七飯町施政方針
七飯町長 中宮 安一
1 はじめに
平成28年第1回七飯町議会定例会の開会に当たり、本年度の町政執行に臨む基本姿勢と施策の一端を申し述べ、町議会の皆様をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。また、これまで「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の実現に向けて、町議会の皆様をはじめ、町民の皆様にいただいたご指導ご支援に、改めて感謝を申し上げます。
さて、3月26日、待ちに待った北海道新幹線が開業いたします。平成17年度の着工決定以来10年の歳月を要しましたが、この間、町議会や七飯町北海道新幹線建設促進期成会をはじめ、関係団体の皆様には早期開業への要請活動に努めていただき心から感謝を申し上げます。
今後は、地元経済界、議会、町民の皆様と連携し、知恵を出し、工夫を重ね、七飯町の魅力や価値を国内外に発信し、北海道新幹線開業効果を持続させ、交流人口の更なる拡大をめざしたまちづくりを進め、地方創生さらに人口減少の抑止に繋がるよう努めてまいりたいと考えております。
そのような中で、日本経済は、デフレ脱却の合言葉の下、円安や株高さらに賃上げの効果もあり、物価も一時上昇しましたが、昨年後半の原油価格急落も追い風にならず、輸出も増えず、実質所得も減少、設備投資も進まず、さらに今年に入ってからは円高・株安の傾向から先行き不透明な状況にあります。
国政においては、TPPの大筋合意やマイナンバー法施行など国家が大きく変貌するような決定がなされ、特に農業を基幹産業とする本町にとっては、TPPの大筋合意は影響が大きいことから、国の支援策を見極めながら対策を講じる考えであります。
また、昨年9月に栃木県や茨城県などで発生しました24時間雨量300ミリ以上の集中豪雨で堤防が決壊し、激甚災害となりました「関東・東北豪雨」のように、短時間のうちに大規模な被害をもたらす災害が多くなっております。
幸いにして、昨年、本町では特に大きな災害もなく、七飯町野菜生産出荷組合の取扱高が過去最高の約32億円となるなど、農業全般において良好に推移しました。
災害対策をはじめ、行政の最も基本的な責務は、安全・安心なまちづくりを進めることであり、子どもたちから高齢者まで幅広い年代の方が住み易いと感じる「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の実現に一歩一歩着実に誠実に努めてまいりたいと考えております。
七飯町には、大沼国定公園に代表される豊かな自然環境や観光資源、安全・安心な食など多くの資源があり、これをさらに活かすことが、昨今叫ばれている地方創生にも結び付くものと考えます。
これまで多くの先人の方々が築き上げてきた七飯町を本年度よりスタートする第5次七飯町総合計画に沿って着実に進めてまいります。
本年度も“夢と希望と可能性”に溢れた七飯町の発展に努めるとともに、子どもたちが明るい未来を築けるよう努めてまいりますので、町議会の皆様及び町民の皆様には、今まで以上のお力添えのほど宜しくお願い申し上げます。
2 町政に臨む基本方針
明るい“夢と希望と可能性”に溢れた「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の主役は、町民の皆様です。平成18年度から平成27年度までの10か年の第4次七飯町総合計画は、「私たちが主役 健やかな未来を育む あたたかいまちづくり」を将来像として、住民と行政が知恵と力を出し合い、ともに協力して、まちづくりを進めてまいりましたが、この10年の計画期間内において、少子高齢化の一層の進行、世界的な金融・経済危機、地球温暖化に伴う低炭素循環型社会の実現に向けた取組の推進、東日本大震災を契機とした安全・安心に対する意識の高揚など、社会経済情勢は大きく変化しました。
今後は、第4次七飯町総合計画のこれまでの成果を総括し、本年度よりスタートする第5次七飯町総合計画「さらに優しく、たくましく 笑顔あふれる未来をめざして」を本町の将来像として取り組んでまいります。
第5次七飯町総合計画の初年度である本年度の一般会計の予算については、前年度に引き続き子育て支援、北海道新幹線開業を基軸とした地方創生に向けた喫緊の事業の実施、安全・安心なまちづくりの推進など、課題を抱えている事業の優先順位を見極め、126億4千万円の予算編成となりました。
詳細については、主要施策でご説明申し上げますが、3月26日に北海道新幹線が開業となり、新駅に最も近い市街地や大沼国定公園などの観光地を有する本町においては、千載一遇のチャンスと捉え、交流人口や定住人口の拡大など、人の流れの大きな変化に対応した受け入れ態勢の整備を進めてまいります。
全国的な人口減少社会の中で、幸いにして平成27年国勢調査では5年前の平成22年(2010年)と比較し人口333人の減少、世帯数154世帯の増加と、ほぼ大きな変動もなく安堵しておりますが、今後は、人口減少と少子高齢化に伴う地域活力の低下、生産年齢人口の減少に伴う税収の減少、社会保障費の増大などにより、これまで以上に厳しい財政状況になることが想定されることから、時代の変化や多様化する住民ニーズに柔軟に対応できる自主性と特性を活かしたまちづくりが求められております。
このことから、急激な人口減少社会における地方創生に向けた施策として、
- 子どもを安心して生み育てていける
- 住み続けたいと思える生活環境を整える
- 食や観光をはじめとする力強い産業と雇用の場をつくる
- 七飯町らしさを活かして人を呼び込み・呼び戻す
以上の考えに基づき、多岐にわたり創意工夫し、予算編成に努めましたので、ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。
なお、詳細については、予算審議の際に、ご説明申し上げてまいります。
3 主要施策の推進について
本年度の主要施策については、町政運営の指針であります第5次七飯町総合計画の基本構想及び基本計画に沿ってご説明申し上げます。第1 安全・便利なまち
道路の整備、住宅の整備、暮らしの安全対策の推進、情報基盤の整備などにより、安全で便利なまちづくりをめざします。はじめに、道路・交通ネットワークの整備について述べてまいります。
悲願でありました北海道新幹線が、3月26日に開業いたします。これに伴うJR北海道の「はこだてライナー」をはじめとする新函館北斗駅からのアクセス列車時刻なども発表され、通勤通学時間帯の列車や大沼公園駅の発着便数も概ね確保されたことに安堵しているところであります。また、二次交通の充実に向けては、新函館北斗駅を起点とした新たな路線バスルートなど、地域公共交通がより利用し易くなるよう、ポケット時刻表を作成し、全戸配布します。
高齢者や障がい者などの交通手段については、地域ボランティアによる自主運行や乗り合いタクシー等の活用など、関係機関の協力を得ながら引き続き研究してまいります。
道路や河川の整備については、町道整備として社会資本整備総合交付金で2路線の改良舗装工事、2橋梁の長寿命化工事、単独事業で4路線の測量設計と4路線の改良舗装工事を実施するほか、除雪作業の効率化及び交通事故防止を図るため、塩カル散布付き除雪専用トラックを購入します。
国道及び道道については、北海道縦貫自動車道の七飯インターチェンジまでの早期開通及び国道5号西大沼地域の片側2車線化を要望するほか、大沼公園鹿部線、大沼公園線及び大野大中山線の整備促進について引き続き要望してまいります。
河川については、久根別川広域河川改修事業、大沼環境整備事業並びに藤城川、蒜沢川及び軍川等の砂防事業、水無沢川砂防事業の新規着手について引き続き要望してまいります。
また、水害対策として、湯出川のJR横断管の改良工事が完成したことを受け、JR・国道間の護岸整備を実施するほか、久根別川と鳴川の合流点付近に災害時の水防の拠点として(仮称)水防センターの建設、軍川地区の排水路整備工事、2河川での維持補修工事を実施します。
次に、住宅・市街地の整備について述べてまいります。
市街地の空洞化の防止や防犯の目的のほか、賑わいのある街並みの創出を図るため、空き家・空き地バンクの取組を積極的に進めるとともに、引き続き民間宿泊施設を活用した「ちょっと暮らし体験事業」を実施し、移住定住化の促進を図ります。
公営住宅の整備については、冬トピア団地の4棟目となる長寿命化工事を進めるほか、吉野山団地の老朽化した物置の更新を行うなど、快適な住環境づくりを進めてまいります。
次に、交通安全・防犯体制の充実について述べてまいります。
交通安全対策については、昨年12月1日から北海道飲酒運転の根絶に関する条例が施行されました。
当町においても、飲酒運転根絶をめざし、家庭、学校、地域そして関係団体との連携を強化し、交通弱者といわれる児童・生徒・高齢者の交通安全教育の徹底を図るとともに、事故防止のため、積極的に交通安全運動を推進してまいります。
防犯については、被害の未然防止に向け、警察、地域、関係団体等と連携し、安全・安心に暮らせるまちづくりをめざしてまいります。
特に、夜間の防犯対策と合わせ、自然環境への配慮・節電対策に重点を置き、外灯のLED照明整備の調査事業が終了しましたので、本年度は取替工事を実施してまいります。
次に、消防・救急・防災体制の充実について述べてまいります。
消防・救急体制については、器材搬送車1台及び小型動力ポンプ5台を更新するほか、大沼地区に消火栓1基を新設するなど、消防設備の充実を図ってまいります。
防災体制については、昨年は、全国の火山活動の活発化や異常気象による大雨被害のほか、台風もすべての月で発生しました。特に、9月には東北や関東地方を豪雨が襲い、茨城県常総市では鬼怒川が決壊し、濁流が住宅地に流れ込むなど激甚災害となりました。
全国で発生している自然災害の教訓を踏まえ、噴火災害に備える避難訓練や防災訓練などを通して町民の防災意識の向上に努めておりますが、これからも「災害は必ずやってくる。」ということを念頭に置き、防災行政無線設備の保守を行うとともに全町への設置拡大について検討を進めるほか、非常食などの備蓄品の増強、避難訓練及び防災訓練を実施してまいります。
また、駒ヶ岳登山者の安全確保を目的に避難シェルター建設についても、関係機関との協議を継続し、国へ要望してまいります。
次に、情報ネットワークの整備について述べてまいります。
情報ネットワークの整備については、情報通信基盤の整備を図りながら、積極的な情報発信による経済活動の活性化や防災情報体制の整備に努めるとともに、情報化社会の変化に対応できるまちづくりをめざしてまいります。
本年度は、総合行政情報システム、事務用パソコン及び庁舎内サーバーを更新するほか、社会保障・税番号制度改正対応システムの改修、証明書コンビニ発行サービスを実施するなど、情報ネットワークの構築を図ってまいります。
第2 快適なまち
生活基盤の総合的整備を図って、住みやすい、快適なまちづくりをめざします。はじめに、環境施策の総合的推進について述べてまいります。
大沼国定公園の環境施策については、豊かな自然環境を未来に向かって保全するため「大沼ラムサール協議会」と「大沼環境保全対策協議会」との連携を密にし、環境保全に関する施策を進めてまいります。また、引き続き大沼ラムサール隊を編成し、自然環境の観察や他のラムサール条約登録湿地地域と交流してまいります。
大沼の水質浄化対策については、北海道と連携し、湖水や流入河川の監視と測定を実施するほか、苅澗川に設置した浄化施設のエリアの拡大について協議を進めてまいります。また、軍川についても濁水流入の緩和施設の検証を行ってまいります。
下水道処理区域外の生活排水対策については、合併処理浄化槽の設置促進を図り、公共用水域の水質汚濁防止と生活環境の保全に努めてまいります。
次に、循環型社会の構築について述べてまいります。
廃棄物対策については、環境及び資源確保に配慮した循環型社会の構築をめざして、町民、事業者と行政の協働により、ごみの発生抑制・減量化、分別の徹底、不法投棄の撲滅に取り組むほか、一般廃棄物最終処分場及び老朽化が進むリサイクルセンターの更新について検討を進めてまいります。
また、昨年度から検討してまいりました町営の合同納骨塚の整備については、規模、設置場所、納骨要件など精査が必要なことから引き続き検討を進めてまいります。
次に、上下水道の整備について述べてまいります。
町民生活を支える水道事業については、水道事業の健全な経営を図るため、簡易水道を上水道に統合する事業統合を実施するほか、今後の人口減少などに対応した財政計画等を策定し、水道料金の負担の適正化を検討してまいります。
下水道事業については、大沼下水浄化センターの更新工事を年次計画に基づき実施するとともに、第2期長寿命化計画や効率的な水処理方式等の検討・計画策定なども併せて実施してまいります。
また、管渠整備については、社会資本整備総合交付金事業での管渠整備がほぼ終了したことから、今後は整備困難な区域の汚水整備について検討を進めてまいります。
次に、公園・緑地の整備について述べてまいります。
児童公園の老朽化した遊具等の整備については、公園施設長寿命化計画に沿って「みどり児童公園」「やまびこ児童公園」「東大川第3児童公園」の整備を進め、安全な遊び場として提供してまいります。
次に、景観の保全について述べてまいります。
大沼国定公園や赤松街道などの自然や歴史的な景観は、本町の貴重な財産であることから、町民との協働による清掃や保護活動などを通して、次世代に受け継げられるように、良好な景観の形成・保全に努めてまいります。
また、適切な管理が行われていない空き家については、計画的に指導をし、処分などを行うため、空き家の実態調査と所有者に対し、管理・取扱いに関する意向調査を実施してまいります。
第3 ふれあい・安心のまち
住民自身の健康管理、行き届いた福祉対策などにより、ふれあい・安心のまちづくりをめざします。はじめに、保健・医療体制の充実について述べてまいります。
住民が健やかに暮らし続けることができるよう、健康づくりの推進を図ってまいります。
各種検診事業をはじめ、健康づくり教室、町民医学講座、保健予防教室を実施するほか、本年度から日本脳炎の定期予防接種が義務となることから、対象者へ周知してまいります。
また、母子保健については、妊婦健康診査や乳幼児健康診査、訪問事業の充実を図るほか、幼稚園・保育所等へフッ化物洗口事業の普及に努めます。
次に、地域福祉の充実について述べてまいります。
社会福祉協議会、民生委員・児童委員等との連携を一層深め、高齢の方や障がいのある方など、いわゆる社会的弱者と言われる方々が地域で孤立しない取組など地域福祉の充実に努めてまいります。
また、ボランティアポイント事業、要援護者支え合い事業についても、事業の普及について進めてまいります。
次に、高齢者福祉の充実について述べてまいります。
高齢者の自主的な組織である老人クラブや老人クラブ連合会、高齢者自らが企画したローレンピックなど、高齢者の自主的な活動に対する支援を行うとともに、組織への参加を働きかけてまいります。
介護保険事業及び地域包括支援センターについては、ひとり暮らしや認知症高齢者も増加しており、相談内容も複雑化している現状にありますが、平成29年度から始まる介護予防・日常生活支援総合事業の準備に向けた対応のほか、医療・介護サービスを提供できる体制の整備を進めてまいります。
また、本年度も引き続き入浴割引を実施するとともに、米寿、喜寿を迎える方には敬老祝品を、100歳を迎える方には敬老祝金を贈呈してまいります。
住民票等宅配サービス(出前出張所)については、交付することができる対象者や証明書等の周知徹底を図りながら、引き続き実施してまいります。
次に、障がい者福祉の充実について述べてまいります。
障がい者福祉については、障がいのある方が地域生活を送るための自立支援、就労支援を進めてまいります。
また、障がいの種類にかかわらず相談支援事業者やサービス事業者と連携し、障がいの特性に応じたより適切なサービスを提供してまいります。
次に、社会保障の充実について述べてまいります。
医療費助成については、引き続き子どもの医療費の助成を18歳まで無料とするほか、重度心身障がい者及びひとり親家庭の助成範囲を北海道の施策より拡大して行ってまいります。
国民健康保険特別会計については、医療の高度化や被保険者の一人当たり医療費の増加などにより、平成26年度は赤字決算、昨年度は繰上充用と厳しい運営となっており、本年度も繰上充用せざるを得ない状況にあります。
さらに、平成30年度からは、保険者の単位が市町村単独から都道府県と市町村の共同保険者に移行するため、赤字決算の解消が求められることから、国民健康保険税の課税限度額の引き上げを行うほか、税率改正を検討してまいります。
第4 育むまち
子育て支援から生涯学習の充実、青少年の健全育成、地域文化の振興、交流活動の活発化を図り、人を育むまちづくりをめざします。はじめに、子育て支援の充実について述べてまいります。
子育て支援については、医療費の18歳までの無料化や保育料の軽減を継続するほか、こんにちは赤ちゃん訪問事業の実施、町内2か所の子育て支援センターの活用、ちびっこ広場の開設など、子育て支援体制を推進してまいります。
放課後児童健全育成事業については、民間と町立の学童保育クラブの保育料の差額が大きいことから、民間の学童保育クラブに対して、保育料の支援を実施してまいります。
児童虐待防止については、児童相談所、教育委員会、保育所等関係機関と連携し、早期対応を行うため、子育て支援ケース会議を活用し、情報の共有化を図ってまいります。
次に、幼児・学校教育の充実について述べてまいります。
教育関係については、教育長から詳細に示されます教育行政方針を尊重してまいりますが、教育委員会の組織強化として教育次長職を設置するほか、生涯教育課からスポーツ振興係を独立させ、スポーツ振興課とし、スポーツ合宿の誘致を強化してまいります。
また、昨年度より新しい教育委員会制度がスタートし、町長が主宰する総合教育会議で、教育大綱を策定させていただきましたので、町としての本年度の主な教育支援などについて申し述べます。
安全・安心な学校づくりの一環として、昨年度着工した大中山小学校の体育館に引き続き、本年度は一部校舎棟の建設に着工するほか、大中山出張所及び学童施設の再編整備についても学校整備と一体となった大中山地区の拠点複合施設として利活用できるよう計画を進めてまいります。
また、七重小学校の一部校舎の耐震補強・大規模改修工事についても引き続き実施し、本年度完成を予定しております。
昨年4月から運営の新しい学校給食センターについては、安全・安心な給食の提供をめざし、より一層の地産地消を図り、食の安全に努めてまいります。
また、昨年、小中学生の学力向上のため試験的に配置されました学習支援員については、一定の評価が得られましたので、増員してまいります。
次に、生涯学習社会の確立について述べてまいります。
人が健康に生涯を過ごすためには、コミュニケーションを取りながら、学び続けることができる環境を整えることが必要と考えます。
その拠点となる文化センターをはじめとする社会教育施設も老朽化しつつあることから、計画的に学習環境の整備に努めてまいります。
次に、生涯スポーツの振興について述べてまいります。
北海道新幹線開業後の大沼湖畔駅伝大会に東北地方の陸上チームの参加を呼びかけるほか、利便性をPRし、陸上実業団やJリーグサッカーチームなどのスポーツ合宿の誘致に努めてまいります。
次に、青少年の健全育成について述べてまいります。
青少年の健全育成を図るため「放課後子ども教室」や、宿泊体験及び文化体験などの青少年育成事業、生活習慣の定着化を図る「通学合宿」を実施します。
次に、地域文化の育成について述べてまいります。
文化祭をはじめ、多種多様な地域に根ざした芸術文化の支援を図るとともに、幅広い芸術鑑賞機会の拡充や提供に努めるほか、歴史的価値のある文化財の保護・管理に努めてまいります。
次に、交流活動の推進について述べてまいります。
国際交流事業については、引き続き中高校生及び町民代表をコンコード町に派遣するほか、4月にはコンコードカーライル高校の生徒が来町することから、町民との交流を深めてまいります。
また、「国際交流夏のつどい」は、異文化を理解する交流事業として、引き続き支援してまいります。
国内交流については、姉妹都市の三木町との交流のほか、災害時等の相互応援協定を締結している静岡県清水町の児童が7月に来町することから、町内児童との交流を深めてまいります。
第5 活気とにぎわいのまち
基幹産業である農林水産業、商・鉱工業、観光の振興を図って、雇用が生まれる、活気とにぎわいのまちづくりをめざします。はじめに、農林水産業の振興について述べてまいります。
昨年のTPPの大筋合意を受け、生産者からは不安や懸念の声が大きくなっております。
農業に及ぼす影響は不透明でありますが、国の進める水田・畑作等の生産者を支援する「産地パワーアップ事業」や酪農・畜産生産者を支援する「畜産クラスター事業」等あらゆる支援策を最大限に活用し、七飯町のブランドであるクリーン農業を継続推進するとともに、産地の差別化と高品質で安全・安心な農畜産物の安定生産や農業経営改善に努め、関係機関と密接な連携を図ってまいります。
具体的な対策として、農業基盤整備については、白川地区道営事業、渡島東部地区基盤整備事業及び通作条件整備事業(広域農道改良)を継続実施するほか、災害等の未然防止にも繋がる農地の維持管理については、多面的機能支払事業の積極的な活用を農業者に周知しながら、農地の保全に努めます。
さらに、新野菜広域流通施設(真空予冷施設)については、野菜の集出荷体制整備や流通改善に繋がる広域的観点から中島地区に建設候補地が選定され、建設の支援策として用地測量等を実施してまいります。
また、農業委員会等に関する法律の改正により、選挙での公選委員が廃止され、次の任期から議会の同意を得て、町長が任命することとなったため、本年度条例等の整備を行ってまいります。
林業については、林業従事者の高齢化や後継者不足等の課題を抱えておりますが、未来につなぐ森づくり事業を活用しながら、公共建築物等への地元産木材の利活用など、拡大を図ってまいります。
大沼の内水面漁業については、大沼環境保全対策協議会と連携し、引き続き資源確保のための水質改善に努めてまいります。
次に、商・鉱工業の振興について述べてまいります。
日銀函館支店によると、道南地方の景気は持ち直しているとされておりますが、本町では実感が湧かない状況が続いていることから、引き続き商工業経営安定資金金融保証金補給及び利子補給の支援を実施してまいります。
また、地域経済の活性化を図るため、地域の創業者や「将来起業する者」などの育成支援として、函館地域産業振興財団と協働し「創業支援バックアップ事業」に取り組むほか、本町の豊富な資源や北海道新幹線開業による立地条件をPRし、企業立地の促進を図るため「インフォメーションバザール in Tokyo」に参加してまいります。
物産支援としては、ななえ町物産振興協議会を中心に、特産品の開発やPR販売の促進及び交流事業を推進するほか、ななえ町物産グルメ発表会事業を支援します。
また、北海道新幹線の開業や北海道縦貫自動車道の開通により交通結節点となる峠下地区に、地域活性化の拠点施設として「道の駅」の整備を進めてまいります。
次に、観光の振興について述べてまいります。
北海道新幹線開業を受け、町の観光産業は大きな転換期を迎えるとともに千載一遇の好機を迎えており、「七飯町観光振興計画」に沿って、多様化したニーズや外国人観光客への対応、観光資源の掘り起しや磨き上げを推進するほか、地域自らが価値を生みだし、地域自らが来訪者を集める自立した観光地域づくり推進組織の確立をめざします。
また、環駒ヶ岳広域観光協議会や大沼体験観光づくり実行委員会が実施する広域観光や体験イベントを支援するとともに、「道の駅」との連携及び活用についても検討してまいります。
さらに、恒常的に取り組む本町のPRとして、JR北海道の「はこだてライナー」の車両内に観光情報ポスター「七飯・大沼通信」を毎月掲出し、タイムリーな観光情報の発信を行ってまいります。
次に、雇用・勤労者対策の充実について述べてまいります。
地域雇用の促進・確保や人口減少対策のため、ハローワークや商工会などとの連携を図りながら、町のホームページや広報紙などを利用し、町内の求人情報の提供を行い「Uターン」や「地元雇用」に繋がる取組を進めてまいります。
また、南渡島通年雇用促進支援協議会と連携の下、技能向上や各種資格取得などの就業支援を行うほか、引き続きシルバー人材センターと連携し、高齢者の就業支援を図ってまいります。
次に、消費者対策の充実について述べてまいります。
町内の消費拡大と町内企業の活力を図るため、商工会との連携の下、「プレミアム付きアップル商品券」を発行してまいります。
また、ふるさと納税については、外部ホームページへの掲載やクレジット決済との連動を図るとともに、創意工夫した返礼品を取り揃え、七飯町を応援していただけるよう努めてまいります。
第6 ともに歩むまち
協働のまちづくり、地域コミュニティの育成、男女共同参画・人権尊重のまちづくりを進めて、自立する自治体経営をめざします。はじめに、開かれた協働のまちづくりの推進について述べてまいります。
町民の視点で行政を執行するために、平成21年度から出前町長室を実施しておりますが、町政の主役である町民の皆様の生の声をお聞かせいただく機会として、引き続き取り組んでまいります。
また、活力のあるまちづくりを進める上で重要なことは、町民、行政及び議会が協力し合い、自ら考え、行動し、汗を流す町民主体のまちづくりであると考えます。
本年度も引き続き「あかまつ街道納涼祭」「チビッコ雪まつり」「大沼べこっ子まつり」を支援するほか、七飯町活力のあるまちづくり推進基金を活用した地域力の育成に貢献する事業の推進を図ります。
次に、男女共同参画・人権尊重社会の形成について述べてまいります。
男女共同参画・人権尊重社会の形成については、男女が互いに人権を尊重し、自分らしく輝いて暮らせる社会の実現に向け、意識づくりや環境づくりを進めます。
特に、女性が活躍・登用される環境づくりや人権に係る相談業務、人権の花運動などを通して啓蒙啓発に努めてまいります。
次に、自立する自治体経営の推進について述べてまいります。
町財政の根幹を成す町税については、納税に対する意義の啓発や不公平感の解消のため、法に基づく的確な滞納整理に努め、未納金の縮減をめざしてまいります。
さらに、老朽化し、耐震強度不足の公共施設については、子どもたちの安全・安心の確保を優先し、藤城小学校及び給食センターの全面改築を行い、継続事業としては、大中山小学校の全面改築及び七重小学校一部校舎の耐震補強・大規模改修工事を行ってまいります。
このほか、消防庁舎の全面改築、新幹線関連の町道整備、湯出川改修工事など大型事業を行ってまいりました。
これまでは、有利な補助金や交付金、起債などを活用してまいりましたが、後年度負担が大きくなることから、平成29年(2017年)4月からの消費税率2パーセントアップと併せて、更なる歳出の削減や歳入の自主財源確保のため、手数料や使用料をはじめとする公共料金などの見直しを検討し、自治体経営の一層の健全化を図ってまいります。
また、自治体経営の核となる行政機構については、常に業務の簡素化・効率化を図り、さらに、限られた予算で最大の効果を上げることに努め、地域と行政の協働の下、行政改革を着実に進めます。
4 むすび
以上、平成28年度の町政執行についての所信と主な施策の概要について、述べさせていただきました。行政の使命は、町民の皆様の安全・安心な暮らしを保障し、より良いものにしていくことであり、このことはいつの時代においても変わるものではありません。
今後においても、町民と行政の協働により、また、それぞれの役割を補完し合う町政運営を基本として歩みを進めていくことが「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の実現に近づくものと確信しております。
そのためには、北海道新幹線の開業効果を最大限に享受し、持続し続けるよう知恵を出し、工夫を重ね、地方創生を進め、人口減少の抑止に繋がるよう努めてまいります。
町民の皆様の暮らしを守るためには、果敢に行財政運営を推し進めていかなければなりません。町議会の皆様及び町民の皆様のご理解、ご協力を切にお願い申し上げ、本年度の町政に臨む施政方針といたします。
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