平成29年度 七飯町施政方針
2017年3月8日
七飯町長 中宮 安一
1 はじめに
平成29年第1回七飯町議会定例会の開会に当たり、本年度の町政執行に臨む基本姿勢と施策の一端を申し述べ、町議会の皆様をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。本年度は、町長に就任して3期目の最終年度を迎えます。
この3期目は、未だに記憶に深く残る平成23年(2011年)3月11日発生の東日本大震災において、大きく問われた安全で安心なまちづくりを進めるため、老朽化が目立ち耐震基準を満たさない大型公共建築物の改築などにスピード感を持って手掛けてまいりました。
厳しい経済情勢、財政状況の下ではありましたが、町政の発展と町民の福祉向上のために全力で取り組み、「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の実現を目指してまいりました。
この間、町議会の皆様をはじめ、町民の皆様にいただいたご指導ご支援に、改めて感謝を申し上げます。
さて、昨年3月26日、念願の北海道新幹線が開業いたしました。これまで、開業に向けてご尽力を賜りました関係団体の皆様に感謝を申し上げますとともに敬意を表するものであります。
開業後は、予想を上回る乗車率で推移し、交流人口の増加が見られることから、地元経済界、議会、町民の皆様と連携し、着工中の「道の駅」とともに七飯町の魅力を国内外に発信し、交流人口や移住定住人口の更なる増加を目指してまいります。
さらに、総務省が発表した昨年1月から12月までの住民基本台帳に基づく人口移動報告では、道南の市町が転出超過の傾向にあるところ、本町では138人の転入超過となるなど、これまでの企業誘致による雇用創出や子育て支援などの政策が実りつつあることから、地域活性化の相乗効果を発揮できるよう努めてまいります。
また、本町では、8月末の連続して北海道に上陸した台風のうち、台風10号の影響により道路や河川、農作物などに大きな被害を受け心配されましたが、野菜類が全国的な品薄などにより価格が高値で推移し、生産額は昨年を上回ることができました。
一方、国外に目を向けますと、イギリスのEU離脱宣言やアメリカ新大統領にトランプ氏が就任するなど、未だに完全なデフレ脱却が見られない日本経済への影響が多岐にわたり懸念されている状況ではありますが、国及び北海道の支援策などを見極めながら町政を進めてまいります。
行政の最も基本的な責務は、安全で安心なまちづくりを進めることであり、幅広い年代の方が住みやすいと感じる「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の実現に誠実に努めてまいります。併せて本町には豊かな自然環境や観光、農産物など多くの資源があり、さらに活かすことに努めてまいります。
特に本年度は、町制施行60年、アメリカコンコード町との姉妹都市提携20年及びガルトネルから始まる西洋式農業発祥150年という節目の年を迎えますので、記念行事などを通して、町民の皆様とともにお祝いしてまいります。
先人の方々が築き上げられた“夢と希望と可能性”に溢れた七飯町の更なる発展に努めるとともに、子どもたちが明るい未来を築けるよう努めてまいりますので、町議会の皆様及び町民の皆様には、今まで以上のお力添えを賜りたくお願い申し上げます。
2 町政に臨む基本方針
“夢と希望と可能性”に溢れた「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の主役は、町民の皆様です。国内では、人口減少、少子高齢化社会の到来に加え、未だに完全なデフレ脱却が見えない経済、地球温暖化に伴う低炭素循環型社会の構築、東日本大震災を契機とした自然災害に対する安全で安心なまちづくりなど多くの課題を抱えております。このような中で、国では一昨年「地方創生」を掲げ地域の活性化を図るとして長期ビジョン及び総合戦略、昨年はニッポン一億総活躍プランを示しました。
本町においても昨年2月に「七飯町まち・ひと・しごと創生人口ビジョン・総合戦略」を策定したほか、昨年3月に策定した計画期間10年の第5次七飯町総合計画及び計画期間5年の第5次七飯町行政改革大綱を策定しました。
この計画に基づき、急激な人口減少、少子高齢化社会における地方創生に向けた施策として
- 子どもを安心して産み育てていける。
- 住み続けたいと思える生活環境を整える。
- 食や観光をはじめとする力強い産業と雇用の場をつくる。
- 七飯町らしさを活かして人を呼び込み・呼び戻す。
詳細な施策については、主要施策でご説明申し上げますが、人口減少と少子高齢化に伴う地域活力の低下、生産年齢人口の減少に伴う税収の減少、社会保障費の増大などにより、これまで以上に厳しい財政状況になることが想定される中で、本年度の一般会計予算については、安全で安心なまちづくりの推進、子育て支援、地方創生に向けた事業の実施など、事業の優先順位を見極め、124億円の予算を編成いたしましたので、ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。
3 主要施策の推進について
本年度の主要施策については、町政運営の指針であります第5次七飯町総合計画の基本構想及び基本計画に沿ってご説明申し上げます。第1 安全・便利なまち
道路の整備、住宅の整備、暮らしの安全対策の推進、情報基盤の整備などにより、安全で便利なまちづくりを目指します。はじめに、道路・交通ネットワークの整備について述べてまいります。
交通ネットワークについては、通勤や通学など生活に欠かせない交通手段である鉄道や路線バス等の確保の観点から、国や北海道並びに近隣市町と協調し、その維持に努めるとともに、北海道新幹線開業に伴う2次交通の充実に向け、バス路線の再編やICカードの導入・運用促進など、地域公共交通がより身近に利用しやすくなるよう取り組んでまいります。
また、幹線から離れた地区に居住する高齢者や障がい者等交通弱者の交通手段についても、地域ボランティアによる自主運行や乗り合いタクシー等の活用など、関係機関の協力を得ながら研究してまいります。
道路の整備については、町道整備として社会資本整備総合交付金で2路線の改良舗装工事、1橋梁の長寿命化工事、単独事業で5路線の改良舗装工事を実施するほか、道路整備及び除雪作業の効率化を図るため、グレーダーを更新してまいります。
国道及び道道については、北海道縦貫自動車道大沼公園インターチェンジから七飯インターチェンジまでの区間が着工されたことから、大沼トンネルの早期着工に向けた要望と合わせ、既存の国道5号の交通安全対策を重点とした片側2車線化を要望するほか、道道の大沼公園鹿部線、大沼公園線及び大野大中山線の整備促進についても引き続き要望してまいります。
河川については、北海道が事業主体の久根別川広域河川改修事業及び大沼環境整備事業、藤城川や蒜沢川、軍川等の砂防事業の整備促進、また、水無沢川砂防事業の新規着手について関係機関に対し要望してまいります。
水害対策については、湯出川の国道付近の護岸整備工事が完成したことから、国道上流区間の治水安全度の向上を図る計画の立案を進めてまいります。
また、近年の記録的な大雨により河川の氾濫が予想されることから、災害時の水防の拠点として水防センター(仮称)の供用を開始するほか、軍川下流排水路整備工事及び大七沢川護岸補修工事を引き続き施工してまいります。
次に、住宅・市街地の整備について述べてまいります。
市街地の空洞化の防止や防犯のほか、街並みの創出を図るため、空き家・空き地バンクの取組や北海道新幹線開業を契機に首都圏などからの移住定住促進を進めてまいります。
公営住宅の整備については、冬トピア団地の5棟目となる長寿命化工事を進めてまいります。
次に、交通安全・防犯体制の充実について述べてまいります。
交通安全対策については、家庭、学校、地域そして関係団体との連携を強化し、交通弱者といわれる児童・生徒・高齢者の交通安全教育の徹底を図るとともに、事故防止のため交通安全運動を展開してまいります。
特に、高齢者事故が増加傾向にあることから、運転免許証の自主返納の啓蒙に努めてまいります。
防犯については、安全で安心して暮らせるまちづくりを目指し、警察、地域、関係団体等と連携してまいります。また、昨年度町内全域に整備しました外灯のLED照明については、今後も関係団体と協働し、維持管理に努めてまいります。
次に、消防・救急・防災体制の充実について述べてまいります。
消防・救急については、北海道新幹線開業による交流・滞在人口の増加やドクターヘリ運航の増加に伴い、救急体制の強化が求められていることから、高規格救急車を2台体制に強化するほか、器材搬送車1台を更新し、消防設備の更なる充実を図ってまいります。
防災体制については、昨年も日本列島は様々な災害に見舞われ、特に北海道では8月に連続して台風が上陸するなど、過去に例のない甚大な被害が発生しました。
本町においても台風10号により道路や河川の決壊、屋根の飛散、倒木、農作物などに被害があったものの、幸いにして人的被害はありませんでしたが、「災害は必ずやってくる」ということを常に念頭に置き、避難訓練や防災訓練などを通して町民の防災意識向上に努めるほか、災害発生時においては速やかな情報収集や情報伝達などが求められることから、アナログ携帯無線をデジタル携帯無線に更新し減災に努めてまいります。
次に、情報ネットワークの整備について述べてまいります。
移行準備中の新総合行政情報システムについては、北海道で構築するセキュリティクラウドに道内自治体が接続することから、ハードウェアを更新し、情報漏えいの防止及び安全管理の対策などに努めてまいります。
また、今年3月より全国のコンビニエンスストアで住民戸籍関係証明書等交付サービスが始まることから、交付の際に必要なマイナンバーカードの普及に努めてまいります。
第2 快適なまち
生活基盤の総合的整備を図って、住みやすい、快適なまちづくりを目指します。はじめに、環境施策の総合的推進について述べてまいります。
環境施策については、ラムサール条約登録湿地の大沼を中心とする豊かな自然環境を保全するため、関係機関との連携を密にし、総合的に進めてまいります。併せて、子どもたちに大沼の自然環境観察などを通して、自然の大切さを伝えてまいります。
また、昨年、道内において公共建築物の煙突内部に剥離や劣化が見られアスベスト建材使用が問われたことについては、含有の恐れはあるものの、大気汚染防止法に基づくアスベスト繊維数濃度調査において基準以下であったことから、定期的な経過観察を行い安全で安心な施設の確保に努めてまいります。
大沼の水質浄化対策については、これまでの大沼環境保全計画の検証や評価を踏まえ、引き続き本年度から10か年の大沼環境保全計画に基づいて水質浄化に努めてまいります。
下水道処理区域外の生活排水対策については、合併処理浄化槽の設置促進を図り、公共用水域の水質汚濁防止と生活環境の保全に努めてまいります。
次に、循環型社会の構築について述べてまいります
廃棄物対策については、循環型社会の構築を目指して、住民、事業者及び行政が一体となって取り組んでまいります。
また、一般廃棄物最終処分場及び老朽化が進むリサイクルセンターの更新について検討してまいります。
計画を進めていました合同納骨塚については、本年度条例整備と合わせ建設してまいります。
次に、上下水道の整備について述べてまいります。
町民生活を支える水道事業については、施設の維持管理や老朽化へ適切に対応し、将来にわたり安全で安心な飲料水の安定的供給に努めてまいります。
また、事業統合により簡易水道事業が廃止される配水区の皆様には、ご負担をお願いすることになりますが、料金改定にあたっては、経過措置を設けて段階的に行うとともに、引き続き、サービスの向上と経営の合理化等に努めてまいります。
下水道事業については、長寿命化計画に基づき「大沼下水浄化センター」の更新工事を効率的に進め、管渠等を含めた施設の適切な維持管理に努めてまいります。
また、下水道事業の経営の面では、これまでの「官庁会計方式」を見直し、将来に向けた経営基盤の安定化と経営状況の明確化を図るため、平成32年(2020年)4月の地方公営企業法の適用となる企業会計導入を目指してまいります。
次に、公園・緑地の整備について述べてまいります。
児童公園の老朽化した遊具等の整備については、公園施設長寿命化計画に沿って「やまびこ児童公園」などの整備を進め、安全な遊び場として提供してまいります。
次に、景観の保全について述べてまいります。
大沼国定公園や赤松街道をはじめ貴重な財産については、住民との協働により清掃や保護活動などを通して、次世代に受け継げられるように良好な景観の形成や保全に努めてまいります。
また、適切な管理が行われていない空き家については、実態調査及び意向調査の結果を踏まえ、空き家対策を計画的に進めてまいります。
第3 ふれあい・安心のまち
住民自身の健康管理、行き届いた福祉対策などにより、ふれあい・安心のまちづくりを目指します。はじめに、保健・医療体制の充実について述べてまいります。
本年度は、保健全般について平成30年度からの総合保健福祉計画の策定年度となることから、地域、高齢者及び障がい者福祉の現状と課題や今後の介護保険制度改正等を反映しながら計画の見直しを行ってまいります。
また、健康づくり基本計画を策定し、生活習慣の改善や環境の整備による健康づくりを推進してまいります。
医療体制については、引き続き、がん検診をはじめとする検診事業の受診率向上に努めるほか、妊婦健康診査や乳幼児健康診査、幼児期からのフッ化物塗布やフッ化物洗口事業の普及に努めてまいります。
また、七飯消防署大沼分遣所の隣地に通年利用可能なドクターヘリのランデブーポイントを整備しましたので、地域住民への周知に努めてまいります。
次に、地域福祉の充実について述べてまいります。
社会福祉協議会、民生委員・児童委員等との連携を深め、高齢の方や障がいのある方など、いわゆる社会的弱者と言われる方々が地域で孤立しない取組など地域福祉の充実に努めてまいります。
また、ボランティアポイント事業、要援護者支え合い事業についても、事業の普及に努めてまいります。
次に、高齢者福祉の充実について述べてまいります。
高齢者の自主的な組織である老人クラブや老人クラブ連合会、高齢者自らが企画したローレンピックなど、高齢者の自主的な活動に対し引き続き支援してまいります。
また、入浴割引のほか、米寿、喜寿を迎える方には敬老祝品を、100歳を迎える方には敬老祝金を贈呈してまいります。
住民票等宅配サービス(出前出張所)については、増え続ける高齢者への速やかな対応が求められることから、制度の周知を図りながら、引き続き実施してまいります。
介護保険事業及び地域包括支援センターについては、ひとり暮らしや認知症高齢者も増加傾向にあり、併せて相談内容も複雑化していることから、介護予防・日常生活支援総合事業や医療・介護サービスを連携させたサービスの提供に努めてまいります。
次に、障がい者福祉の充実について述べてまいります。
障がい者福祉については、引き続き自立支援、就労支援を進めるほか、障がいの種類にかかわらず相談支援事業者やサービス事業者と連携し、障がいの特性に応じたより適切なサービスを提供してまいります。
また、隔年実施の第37回渡島地区身体障害者福祉大会及び第32回渡島地区身体障害者スポーツ大会が本町において開催されることから支援してまいります。
次に、社会保障の充実について述べてまいります。
医療費助成については、子どもの医療費、重度心身障がい者及びひとり親家庭の助成範囲を拡大して実施しておりますが、費用負担の公平性などの観点から助成内容の検討をしてまいります。
国民健康保険特別会計については、医療の高度化や被保険者の高齢化などにより年々一人当たりの医療費が増加し、繰上充用せざるを得ない状況の赤字決算が続いております。
今後も高齢者が増加傾向の中で、医療費の抑制も見込まれないこと、また、平成30年度からは保険者の単位が市町村単独から都道府県と市町村の共同保険者に移行し、北海道から求められる国保事業費納付金の支払いが生じるなど、国民健康保険特別会計を取り巻く環境は依然として厳しい状況となることから、本年度から累積赤字解消のため、国民健康保険税の税率改正及び課税限度額の引き上げを実施し、健全な運営に努めてまいります。
第4 育むまち
子育て支援から生涯学習の充実、青少年の健全育成、地域文化の振興、交流活動の活発化を図り、人を育むまちづくりを目指します。はじめに、子育て支援の充実について述べてまいります。
子育て支援については、18歳までの医療費無料化をはじめ従来の支援策を引き続き行うほか、体調不良児対応の病児保育事業が拡大されるなど、多様化するニーズに応えるよう努めてまいります。
放課後児童健全化育成事業については、引き続き民間の学童保育クラブの保育料を補助し、待機児童の解消に努めてまいります。
また、大中山地区の学童保育施設は、老朽化により早急な改築が求められていることから、大中山出張所と合わせた複合施設の建設に向けて、国及び北海道に対して財政支援を要望してまいります。
児童虐待防止については、関係機関との連携を深め、早期の発見・対応に努め、子育て支援ネットワークを活用してまいります。
次に、教育関係について述べてまいります。
教育関係については、教育長から詳細に示されます教育行政方針を尊重してまいりますが、町としての本年度の主な教育支援などについて申し述べます。
安全で安心な学校づくりの一環として、本年度は大中山小学校の校舎北棟が完成し、その後、校舎南棟の建設に着工してまいります。
子どもたちの食育の一環として、給食センターにおいて、安全で安心な農畜産物の食材の確保と地産地消に支援してまいります。
また、子育て支援の一環として、未就学児及び保護者等を対象とした給食試食会についても支援してまいります。
生涯学習の拠点となる文化センターをはじめ社会教育施設も老朽化しつつあることから、計画的な整備を支援してまいります。
次に、交流活動の推進について述べてまいります。
国際交流事業については、コンコード町との姉妹都市提携20年を迎えることから、町制施行60年記念行事と合わせ姉妹都市調印式、記念式典等を実施してまいります。
また、本年度も中高校生の語学研修及び町民の文化交流事業推進のため、中高校生及び町民代表をコンコード町に派遣してまいります。
一般財団法人北海道国際交流センター主催の「国際交流夏のつどい」については、異文化を理解する交流事業として引き続き支援してまいります。
国内交流については、姉妹都市三木町をはじめ経済、文化、防災など繋がりのある自治体と引き続き交流を深めてまいります。
鶴野地域センター(旧鶴野小学校)及び大中山地域センター(仮称大中山地域体育館附属会館)については、教育委員会との連携の下、交流の場として生涯学習及び子育て支援等の活動を行う団体に貸し出しするほか、施設の一部を住民福祉向上等に寄与する団体等の事務所とするなど活用を図ってまいります。
第5 活気とにぎわいのまち
基幹産業である農林水産業、商・鉱工業、観光の振興を図って、雇用が生まれる、活気とにぎわいのまちづくりを目指します。はじめに、農林水産業の振興について述べてまいります。
アメリカ新大統領にトランプ氏が就任したことにより農業に及ぼす影響も不透明でありますが、国などが進める支援策を最大限に活用し、七飯町ブランドとして高品質かつ安全で安心な農畜産物の安定生産に努めてまいります。
また、西洋式農業の始まりとされる本町では、慶応3年(1867年)ガルトネルの耕作許可から150年を迎えます。明治2年(1869年)の条約書締結や明治3年(1870年)の七重官園設置の史実を順次控えますが、本年度は歴史館との連携を図り特別展などの記念事業を実施してまいります。
農業基盤整備については、白川地区道営事業、渡島東部地区基盤整備事業及び通作条件整備事業として広域農道改良を継続するほか、新たな通作条件整備事業として城岱スカイラインの改良に着手してまいります。
また、災害等の未然防止にも繋がる農地の維持管理については、多面的機能支払事業を活用し、農地の保全に努めてまいります。さらに、新野菜広域流通施設整備として集出荷予冷施設建設事業に着手してまいります。
農業委員会については、昨年の法改正により、議会の同意を得て、農業委員会委員については町長が任命し、農地利用最適化推進委員については農業委員会会長が選任してまいります。
林業については、引き続き各種町有林事業を行うほか、民有林対策においても未来につなぐ森づくり事業を活用し進めてまいります。
また、昨年の台風による河川の氾濫、道路の決壊、土砂災害や農地への浸水被害などが発生したことから、森林のもつ水源涵養機能、土砂流出・崩壊防止機能等の向上を図ることを目的に治山事業の要望を行ってまいります。
大沼の内水面漁業については、大沼環境保全対策協議会と連携し、引き続き資源確保のための水質改善に努めてまいります。
次に、商・鉱工業の振興について述べてまいります。
商工業については、近況では道南地方の景気が緩やかに回復基調とされていますが、商工業は地域経済活性化の原動力であることから、引き続き町内中小企業への商工業経営安定融資の支援をしてまいります。
また、函館地域産業活性化協議会や企業誘致専門委員との連携を図り、情報の収集・提供・共有に努め、企業誘致を進めてまいります。
起業・創業支援については、函館地域産業振興財団と協働し「創業支援バックアップ事業」に取り組んでまいります。
次に、観光の振興について述べてまいります。
観光については、北海道新幹線開業効果により平成28年度上期の観光客入込数は3.8パーセントの増、うち宿泊数は22パーセント増と着実に回復してきております。
さらに、持続的に観光によるまちづくりを発展させるため「七飯町観光振興計画」に基づき活性化に努めるとともに、外国人観光客の受入体制の整備についても進めてまいります。
また、広域観光イベントや体験イベントを支援し、町内への誘客や周遊・滞在を図るとともに、観光ガイドの育成・定着に努め、さらに大沼国定公園の魅力を動画や写真を活用した発信に努めてまいります。
北海道新幹線総合車両基地との連携については、車両基地内見学の開設や車両基地まつりの早期実現を目指し、JR北海道に要望するとともに、小学生を対象とした新幹線体験ツアー事業を継続実施し、食と観光の魅力をPRしてまいります。
次に、雇用・勤労者対策の充実について述べてまいります。
雇用・勤労者対策については、北海道新幹線開業効果により総合車両基地関係で約400名の雇用が創出されているほか、新たな企業進出や既存事業者のリニューアルなどもあり、雇用創出効果が表れてまいりました。
本年度も雇用の創出及び確保に向けて、南渡島通年雇用促進支援協議会と連携し、通年雇用化に向けたセミナーや技能講習などを行うとともに、ハローワークや新函館農業協同組合七飯支店などと連携し、町内の求人情報の周知に努めてまいります。
また、七飯町シルバー人材センターと連携し高齢者の就業を支援してまいります。
次に、消費者対策の充実について述べてまいります。
消費者対策については、消費拡大と企業へ活力を与えるため、「あかまつ街道納涼祭」「ななえ町物産グルメ発表会」「チビッコ雪まつり」「大沼べこっ子まつり」のイベントを支援してまいります。
また、物産支援として特産品の開発や販路の拡張、交流事業と連動したPR販売の取り組みを支援してまいります。
次に、道の駅について述べてまいります。
道の駅については、道南の交通の要衝となる峠下地区に今年度末のオープンを予定し、国内外への情報発信や地域資源の利活用に努め、「交流の場」「活動の場」として賑わいのある施設を目指してまいります。
また、北海道より道の駅事業に精通した職員の派遣をいただき、運営等の実務の指導を賜りながら、推進してまいります。
第6 ともに歩むまち
協働のまちづくり、地域コミュニティの育成、男女共同参画・人権尊重のまちづくりを進めて、自立する自治体経営を目指します。はじめに、開かれた協働のまちづくりの推進について述べてまいります。
町民の視点で行政を執行するためにも、町民皆様の生の声をお聞かせいただく機会として、引き続き出前町長室を実施し、今後の町政に生かしてまいります。
また、これまで、多くの先人の方々が自ら考え、行動し、汗を流す町民主体のまちづくりを進めていただいたことにより、今日の七飯町が築き上げられ、本年度町制施行60年という節目の年を迎えることとなりました。
町制施行60年を振り返ると、先人の方々のご功績を称え、感謝を申し上げ、敬意を表するものであります。この60年を映像で記録し、記憶に残るように努め、町民皆様と昔を懐かしみ、さらに未来への橋渡しとなるような、七飯町の観光や産業などを内外にPRする映像コンテンツを制作し、観光施設やインターネット上での映像配信に活用してまいります。
次に、男女共同参画・人権尊重社会の形成について述べてまいります。
男女共同参画・人権尊重社会の形成については、男女が互いに人権を尊重し、自分らしく輝いて暮らせる社会の実現に向け、意識づくりや環境づくりを進めてまいります。
次に、自立する自治体経営の推進について述べてまいります。
自立する自治体経営の推進については、昨年3月に策定されました第5次七飯町行政改革大綱に基づいて、行政機構の簡素化・効率化をはじめ行政改革を図りながら、最小の経費で最大の効果を上げることに努めてまいります。
また、ふるさと納税では、返礼品を幅広く取り揃えるなど、町内の優れた地場産品のPRを図り、自主財源の確保に努めてまいります。
4 むすび
以上、平成29年度の町政執行についての所信と主な施策の概要について、述べさせていただきました。行政の使命は、町民の皆様の安全で安心な暮らしを保障し、より良いものにしていくことであり、このことはいつの時代においても変わるものではありません。
今後においても、町民と行政の協働により、それぞれの役割を補完し合う町政運営を基本として歩みを進めていくことが「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の実現に近づくものと確信しております。
そのためには、北海道新幹線開業がゴールではなく、北の大地の新幹線時代のスタートと捉え、北海道新幹線開業効果を持続し続けるよう知恵を出し、工夫を重ね、大沼国定公園や道の駅を核とする地方創生を進め、さらに企業誘致による新たな雇用を生みだし人口減少の抑止に繋がるよう努めてまいります。
町民の皆様の暮らしを守るためには、果敢に行財政運営を推し進めていかなければなりません。町議会の皆様及び町民の皆様のご理解、ご協力を切にお願い申し上げ、本年度の町政に臨む施政方針といたします。
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