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大沼の水質の現状と環境保全対策について

大沼のこれまでの経緯

 昭和47年(1972年)に公害対策基本法(現在の環境基本法)に基づいて、大沼の水質の環境基準が北海道知事により設定され、翌年から水質の監視が行われています。
 昭和55年(1980年)から環境基準未達成となり、平成元年(1989年)に大沼特定環境保全公共下水道の供用が開始されましたが、水質の保全に寄与してはいるものの、依然としてCODに係る環境基準は達成されていません。

 平成7年(1995年)11月には「北海道湖沼環境保全基本指針」に基づく「重点対策湖沼」に指定されたことにより、北海道開発局函館開発建設部や北海道渡島総合振興局、七飯町、森町、鹿部町、大沼の事業者等により大沼環境保全対策協議会が設置され、その協議会の合議により大沼環境保全計画を策定して対策を進めてきました。

 この間、浄化池の設置や下水道・合併浄化槽の整備、緑化の推進など、各関係機関により様々な取り組みを行った結果、大沼のCODの値は平成20年(2008年)と平成23年(2011年)、平成24年(2012年)には環境基準値内に収まるなど、環境基準に近づきつつありますが、達成にはもう1歩のところで至ってません。

大沼の環境基準

  • COD 3mg/L以下
  • 全リン 0.03mg/L以下

環境基準達成とは…

CODの場合

  • 同一類型指定水域内全ての基準点で環境基準値以下の場合。
  • 環境基準値以下とは、環境基準値以下の日数/年間の総測定日数が75パーセント以上の場合。(言い換えると、75パーセント値が環境基準値以下の場合)

全リンの場合

  • 同一水域内の全基準点で、表層の年間平均値が環境基準以下の場合。
※大沼の基準点は、大沼・小沼のおおよそ中央部、それぞれ1ヶ所です。

大沼の水質の推移

CODの経年変化(75%値)

CODの経年変化の折れ線グラフ

全リンの経年変化(平均値)

全リンの経年変化の折れ線グラフ

大沼流域図

 大沼流域図とは、降った雨が大沼に流れ込む区域を示した図のことです。
 大沼流域には、七飯町の大沼地区、上軍川地区、軍川地区、東大沼地区、西大沼地区、森町の赤井川地区、駒ヶ岳地区が含まれています。
 大沼の水面部分だけでなく、周辺の陸地部分も含んだ「大沼流域」全体が、大沼の水質に影響を与えています。
PDF大沼流域図 (732.6KB)

大沼で推定される水質悪化のプロセス

プロセスの図
アオコについて

 大沼では9月~10月にかけて、特に水の流れ(水の対流)の弱い場所において、水面が緑色の粉をまいたような状態になる「アオコ」が発生します。
 アオコの正体は、水中の植物プランクトンが大量に増殖したもので、水温や日光、水中に溶けている栄養物質(窒素・リン)などの条件が整うと、植物プランクトン自身の光合成によりどんどん増殖していきます。

 水中における食物連鎖の関係は、水中の栄養物質を使って植物プランクトンが光合成により増殖し、次にその植物プランクトンを動物プランクトンが食べ、その後その動物プランクトンを小魚が食べ、最終的に小魚を大型の魚類が食べるという関係になっています。

 この中で、水中の栄養物質の量が著しく多くなってしまうと、植物プランクトンが爆発的に増殖する一方で動物プランクトンによる消費が追いつかず、水中の食物連鎖のバランスが崩れて植物プランクトンが大量に存在する状態となり、アオコの発生に繋がってしまいます。

 この時の水中に栄養物質が溜まってしまった状態を「富栄養化」と言います。

アオコが発生した状態

アオコが発生した状態の写真1枚目   アオコが発生した状況の写真2枚目

大沼の乳白色化現象について

 平成27年(2015年)9月15日から20日にかけて大沼の湖面が乳白色化するという現象が発生しました。
 これまでその様な現象は発生していなく、原因も分かりませんでしたが、研究機関の研究・協力により、原因の解明に至りました。
 乳白色の正体は原生生物(単細胞生物や、多細胞生物でも組織化の低い生物で、動物でも植物でも細菌でもない生物)に属するアステロカエラム属(アメーバ形態と休眠形態に変態する特徴を持つ。)との事です。
 アステロカエラム属は、ある特定の藍藻類(植物プランクトンの一種)を捕食して増殖します。
 この年に発生したアオコは、ある特定の藍藻類が大量に発生したため、アステロカエラム属が豊富な餌資源を基に大量に増殖したことで、湖面の乳白色域が形成されました。

乳白色化現象が発生した状態

乳白色化現象の写真1枚目  乳白色化現象の写真2枚目

大沼の環境保全対策について

 大沼の環境保全は、七飯町のほか関係機関等により大沼環境保全対策協議会を設置して対策が行われています。

 大沼環境保全対策協議会の主な活動は、関係機関の合議により『大沼環境保全計画』を策定し、その計画に基づいて関係機関の連携の下に対策を進めていくことです。

大沼環境保全対策協議会構成機関

  • 七飯町
  • 北海道開発局函館開発建設部(大沼流域を縦断する国道管理者等として)
  • 北海道渡島総合振興局(水質基準所管、大沼水面敷地(河川敷地)管理者等として)
  • 森町(大沼流域を内包する自治体として)
  • 鹿部町(大沼の下流域の自治体として)
  • 大沼漁業協同組合(大沼の事業者(漁業)の代表として)
  • (一社)七飯大沼国際観光コンベンション協会(大沼の事業者(観光)の代表として)
  • JA新函館(大沼流域の事業者(農業)の代表として)
  • 大沼ラムサール協議会(大沼の住民団体として)
『大沼環境保全計画』のページ

用語解説

CODとは

Chemical Oxygen Demand = 化学的酸素要求量
 水中に含まれる有機物を、酸化剤を用いて酸化する時に消費される酸化剤の量を、『酸素の量』に換算したもの。
 CODの数値が大きい場合は、水中における有機物の量が多いことを意味し、有機物による水質汚濁が大きいことになります。

 酸化剤によって酸化される物質には無機物もありますが、大部分は有機物なので、CODは有機物における水質汚濁の指標となっています。

全リンとは

 各種形態のリン化合物の全体のこと。
(リン酸イオン、ポリリン酸類、動物質あるいは植物質としての有機化合物など。)

 リンは窒素と並んで動植物の育成にとって必須の元素であり、肥料や排水に含まれるリンが湖沼に流入すると、「富栄養化」の原因となります。

Q&A

 大沼の環境保全に関する質問と、それに対する回答について紹介します。
PDF令和元年(2019年)12月の質問・回答はこちら (216.9KB)
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お問い合わせ

環境生活課自然環境係

電話:0138-67-5855

FAX:0138-67-5856

Eメール:321-shizen-k@town.nanae.hokkaido.jp

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