令和5年度 七飯町施政方針
1 はじめに
令和5年第1回七飯町議会定例会の開会に当たり、本年度の町政執行に臨む基本姿勢と施策の一端を申し述べ、議会議員の皆様をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
政府は、新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の位置付を2類相当から5類に引下げ、ウィズコロナの取組をさらに進めながら平時の日本を取り戻そうとしており、3年に及ぶコロナ禍からの社会正常化を迎えようとしています。
さて、七飯町まちづくり基本条例の前文には、「私たちのまち七飯町は、温暖な気候、豊かな水と緑に恵まれ、日本における西洋式農法を基盤とした近代農業発祥の歴史を持つ町です。また、七飯町は、秀峰駒ケ岳と大沼国定公園を擁する自然豊かな町でもあります。(中略)私たちは、町民憲章の精神にのっとり、これまで先人たちが築いた歴史や文化を次世代に引き継ぎ、美しい自然を守り育て、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進める責任があります。」と記載されています。
私たち行政に携わる職員一人一人がさらに町政に関心を持ち、自主・自律のまちづくりを目指して常に改善・改革を実現し、未来をつくる子どもたちの健やかな成長を応援し、誰もが安心して暮らせる七飯町の実現に向け邁進してまいります。
これまで皆様とともに培った知識や経験のほか、40年余りの行政経験を生かして、「未来に向かって輝く七飯町」の実現のため、「町民の声を生かして創る七飯町」を基本に、誠心誠意努めてまいりますので、議会議員の皆様及び町民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2 町政に臨む基本方針
当初予算編成は、町長就任後初めてとなりますが、近い将来を見据えた施策を主なものとして編成にあたりました。
現在稼働している函館新幹線総合車両所は、北海道新幹線札幌延伸となる2030年にフル稼働となり、この地域に鉄道関連事業を中心とした雇用拡大が見込まれ、七飯町の将来を見据えた計画的なまちづくりとチャンスを活かした施策が必要であります。
新函館北斗駅から札幌駅まで、距離にして212キロメートルの札幌延伸は、札幌までの移動時間が約1時間となるなど大幅な時間短縮をもたらし、七飯町で生まれ育った若者が札幌の大学に通学することや、大学卒業後には七飯町に地元就職する可能性も、夢のようですが期待できるものとなります。
また、北海道新幹線札幌延伸と並行して進められている北海道縦貫自動車道大沼トンネルの本坑着工などの高速道路網整備により、今後、益々、七飯町が南北海道の交通の要衝になるものと期待できます。
将来的に流通拠点となることを見据えながら、これまで整備されたインフラを最大限活用し、町内の企業支援はもとより、地の利を活かして新たなマッチング企業の誘致を進めるなど、雇用拡大・確保に努めてまいります。
また、少子高齢化により日本全体の人口減少が進んでおりますが、令和4年12月末までの1年間の住民基本台帳人口移動報告によれば、北海道内179市町村の内、転入者が転出者を上回るいわゆる社会増となった35市町村には七飯町も含まれ、上位5番目となるなど、4年連続で社会増を継続しつつ、人口減少を微減にとどめております。
引き続き、基幹産業である農業・観光において、新幹線や高速道路網などの交通インフラを最大限活用した施策によって、後継者の育成、持続可能な雇用体制や人材確保など、生産人口の確保に努め、移住・定住の促進によって地域経済が元気になる町を目指してまいります。
その中で、子どもから高齢者までが文化・芸術・スポーツに親しみ生きがいを持って暮らせる健康寿命を高めるまちづくりを目指し、併せて堅実でバランスの取れた計画的で効率的な行財政運営に努めてまいります。
今後も、令和2年3月に策定した第2期七飯町まち・ひと・しごと創生総合戦略を基本に、子育て支援、住環境の整備、企業誘致、教育の充実、産業の育成など多岐にわたり波及効果が大きい施策に力を注ぐことで人口減少の進行を微減にとどめられるよう、次の4つの基本的視点により、具体的な施策を引き続き実行してまいります。
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子どもを安心して産み育てられる。
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住み続けたいと思える生活環境を整える。
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食や観光をはじめとする力強い産業と雇用の場をつくる。
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七飯町らしさを活かして人を呼び込み・呼び戻す。
また、第5次七飯町総合計画に七飯町が進む方向性が示されておりますが、本年度は後期5年間の3年目となることから、各種事業の着実な取組を継続するほか、町民待望の図書館とスポーツセンターの基本構想・基本計画に着手してまいります。
本年度の町政に臨むに当たり、社会経済情勢の変化に的確かつ迅速に対応し、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供とより効果的・効率的な行政運営の実現に向けて、全庁を挙げて取り組んでまいります。
詳細な施策の概要につきましては、次の「主要施策の推進」でご説明申し上げますが、事務事業の優先順位を見極めながら、一般会計113億3千4百万円の予算を編成いたしましたので、ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。
3 主要施策の推進について
本年度の主要施策については、町政運営の指針であります第5次七飯町総合計画の基本構想及び基本計画に沿って、ご説明申し上げます。第1 安全・便利なまち
はじめに、道路・交通ネットワークについて述べてまいります。道路の整備については、関係機関と連携を図りながら、安全で安心な交通網の形成に努めてまいります。
本年度の町道整備については、社会資本整備総合交付金事業で1路線の整備事業、橋梁長寿命化関連で3橋梁の修繕事業、久根別川広域河川改修事業に伴う道負担金事業で1橋梁の架替関連事業、単独事業で15路線の改良舗装及び排水整備工事を施工してまいります。
国道については、北海道縦貫自動車道大沼公園インターチェンジから七飯インターチェンジ間のトンネル工事の本坑工事が着工されておりますが、さらなる早期完成を要望してまいります。
道道については、大沼公園鹿部線、大沼公園線、大野大中山線及び七飯大野線の整備促進について、引き続き、北海道に要望してまいります。
河川については、北海道が事業主体の久根別川広域河川改修事業のほか、藤城川、水無沢川及び蒜沢川の砂防事業の整備促進について、引き続き、関係機関に対し要望してまいります。町河川については、2河川の浚渫工事、1河川の排水路整備などを施工してまいります。
地域公共交通については、七飯町地域公共交通計画に基づき、現在、ハイヤー・タクシー運賃負担軽減実証実験を実施していますが、この実施結果を基に、より効果的で利用しやすい公共交通施策の展開に向けて、鉄道、路線バス、タクシー等既存交通手段に加え、新たな交通手段の可能性を含めた総合的な交通体系の構築に向けた検討を重ねつつ、町民をはじめ、人々の移動の利便性を向上させる持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に努めてまいります。
次に、住宅・市街地の整備について述べてまいります。
空き家対策については、「七飯町空家等対策計画」を更新し、実態調査に基づいた空き家の適正管理を推進するため、七飯町空家等除却費補助金制度などの活用を促し、昭和55年以前に建築された住宅の建て替え促進と周辺環境に影響を与える恐れのある危険な特定空家解消に努めてまいります。
公営住宅の整備については、桜B団地9号棟及び本町上台団地5号棟の屋根や外壁の改修工事を施工してまいります。
次に、交通安全・防犯について述べてまいります。
交通安全対策については、家庭や地域、学校、そして関係諸団体等と連携を密にし、児童・生徒・高齢者の交通安全教育の徹底を図るとともに、刻々と変化する交通事故情勢に対応しながら交通安全運動を展開してまいります。
また、超高齢社会に伴い、高齢ドライバーが増加する中で、運転操作ミス等による痛ましい事故が発生していることを鑑み、運転に不安のある70歳以上の高齢者を対象に、高齢者運転免許証自主返納支援事業を継続し、交通安全対策に努めてまいります。
さらに、未登録や自動車検査証の有効期限が過ぎた自動車等の運行に係る臨時運行許可(仮ナンバー発行)を、役場本庁舎及び各出張所でも取り扱えるように、臨時運行許可事業に着手してまいります。
防犯については、被害の未然防止に向け、警察や地域及び関係団体等との連携を一層密にし、安全で安心して暮らせるまちづくりを目指してまいります。
また、外灯のLED照明については、外灯組合や町内会等、関係団体と協働し、維持管理に努めてまいります。
次に、消防・救急・防災について述べてまいります。
消防及び救急については、七飯消防署に令和6年度整備予定の油圧救助器具購入経費に充当するための基金を、引き続き、積み立ててまいります。
防災については、避難行動要支援者の個別避難計画作成について、地域住民や関係機関のご協力をいただきながら進めてまいります。
防災行政無線設備の活用については、Jアラートの発動や災害時などのいざという時に効果的な運用ができるよう、日頃から、適正な維持管理に努めてまいります。
また、地域コミュニティFMを活用した「町政だより七飯町」や毎月発行する町広報紙による情報発信にも努めてまいります。
次に、情報ネットワークについて述べてまいります。
デジタル技術・情報通信技術を最大限に活用しながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進し、各種届出・申請のオンライン化などにより住民の利便性を向上させるとともに、業務の効率化を図り、行政サービスのさらなる向上につなげてまいります。
マイナンバーカードについては、コンビニエンスストアでの戸籍関係証明書等交付サービスや医療機関等での健康保険証の利用のほか、オンラインによる税の確定申告に加えて、転出届や転入・転居の受付予約が可能となったことから、引き続き、普及促進に努めてまいります。
第2 快適なまち
はじめに、環境施策の総合的推進について述べてまいります。
有害鳥獣駆除については、鳥獣被害防止計画に基づき、鳥獣被害対策実施隊と連携して、人身被害の防止はもとより、農業被害の防止に取り組んでまいります。
大沼環境保全対策については、ラムサール条約登録湿地である大沼の豊かな自然環境を次世代につなぐため、大沼ラムサール協議会の活動を支援するなど各関係機関と連携し、環境保全の施策を進めてまいります。
また、次代を担う子どもたちの環境学習の一環として、大沼の自然環境観察を通じて自然の大切さやふるさとの魅力の一端に触れ、素晴らしい自然を未来につなげ成長し続ける人材の育成に努めてまいります。
さらに、大沼の豊かな自然環境を町外の方に広く知っていただき、七飯町の移住・定住人口や関係人口拡大に向けて、引き続き、移住体験の提供を実施してまいります。
大沼の水質浄化対策については、北海道と連携し、湖水や流入河川の監視と測定を行い、その結果や現場の状況に合った改善対策を実施するなど、大沼環境保全計画に基づいた水質浄化に努めてまいります。
下水道処理区域外の生活排水対策については、戸別合併処理浄化槽の設置を推進し、引き続き、公共用水域の水質汚濁の防止と生活環境の保全に努めてまいります。
次に、循環型社会の構築について述べてまいります。
廃棄物対策については、持続可能な循環型社会の構築を目指して、分別の徹底やリサイクルの推進による資源の再利用を促進することで、ごみの減量を図るとともに、不法投棄の防止等に、住民、事業者、行政が一体となって取り組んでまいります。
次に、脱炭素社会の推進について述べてまいります。
世界的に脱炭素社会の実現に向けた動きが加速する中、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指しており、公共施設の照明LED化改修事業を順次進め、省エネルギー化を図ってまいります。
次に、上下水道の整備について述べてまいります。
水道事業については、改訂された七飯町水道ビジョン並びに七飯町水道事業経営戦略に基づき水道水を安定供給するため、施設の適切な維持管理、更新並びに耐震化を行うほか、隔月検針・請求の実施等による効率化を進め、七飯町公営企業経営審議会より答申された水道料金の適正化を実現してまいります。
下水道事業については、各種計画等に基づき、既存施設の更新を効率的に進め、施設の適切な維持管理を行います。
また、七飯町公営企業経営審議会より答申された特定環境保全公共下水道の汚水処理方式の見直しについて、新汚水処理方式の選定に必要となる調査・設計等をさらに進め、施設等の概算建設費用の算出や懸案事項等の整理・協議を行い、将来の汚水管路更新等を見据えた下水道事業の経営に努めてまいります。
次に、公園・緑地について述べてまいります。
公園の整備については、七飯総合公園(あかまつ公園)の噴水内防水層やテニスコートの表層ひび割れ補修のほか、階段手摺設置工事を施工してまいります。
第3 ふれあい・安心のまち
はじめに、保健・医療体制の充実について述べてまいります。
保健については、社会環境や生活の変化による様々な健康課題に向けて、生涯にわたり健康でいきいきと暮らしていけるよう、町民一人一人が主体的に自ら積極的な健康づくりや食生活の改善を目指し、さらには「生きることの包括的な支援」を受けられるよう、家庭、地域、社会全体で支援する環境づくりを効果的に推進するため、令和6年度から令和11年度までに及ぶ「第4期健康づくり基本計画」の策定に着手してまいります。
本年度では、従前までの健康施策に加え、新たに50歳以上の全町民を対象に帯状疱疹ワクチン費用の自己負担額を半額助成し、免疫低下による疾患リスクを軽減する対策を強化いたします。
また、国の方針による自殺対策のさらなる強化に向け、役場窓口業務に関わる職員が町民の発するSOSサインを的確に捉えるため、人材育成事業として「ゲートキーパー研修会」を新たに導入し、必要な支援の提供を行ってまいります。
母子保健については、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない子育て支援を行うため、保健センター内に設置されている「子育て世代包括支援センター」において、妊娠・出産・子育てに関する必要な情報提供・助言、保健指導を行ってまいります。
さらに、国の交付金事業として町が事業主体となる出産・子育て応援交付金事業を推進し、妊婦及び子育てをしている家庭に寄り添い、面談や継続的な情報発信等を行うことを通じて必要な支援につなげる伴走型相談支援と子育てに必要な経済的支援を行ってまいります。
また、健やかな成長の確認とともに、就学に向けた準備を目的とする5歳児健診事業の推進については、保健師・町内幼保職員・教育委員会や学校などの関係機関が協力し合い、健診後のケアや就学までのサポート支援を行うなど、町独自の施策として継続的に実施してまいります。
次に、地域福祉について述べてまいります。
複雑・複合化した支援ニーズに対応するため、町民、町内事業者などと連携して、子ども、障がい者、高齢者、生活困窮など、分野や属性・世代を問わず「相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」を一体的に実施する重層的支援体制整備を推進してまいります。
さらに、地域における課題の解決や共助の促進を図るため、要援護者支え合い事業、ボランティアポイント事業、成年後見制度利用支援などを効果的に活用し、すべての町民の方々が暮らしやすい地域共生社会の実現に向けた取組を実施してまいります。
また、本年度は、七飯町第5期総合保健福祉計画の分野別計画である「第5期地域福祉計画」、「高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画」、「第7期障がい福祉計画」、「第3期障がい児福祉計画」及び「第5期障がい者プラン」を策定してまいります。
次に、高齢者福祉について述べてまいります。
新型コロナウイルス感染症防止と地域における介護予防・フレイル予防活動の両立を図りながら、高齢者の方々が主体的に健康づくりや生活習慣の改善に取り組めるように支援するとともに、元気な高齢者が、老人クラブ・老人クラブ連合会などで行う健康・友愛・地域貢献活動などを通じて、生きがいを持って生活することで、人生100年時代を見据えた高齢者の健康増進を支援してまいります。
介護保険事業については、町民の方々が自ら健康に関心を持ち、地域において主体的に健康活動に取り組む支援を行うとともに、地域住民との協働による地域介護予防活動支援事業の支援や、有償ボランティアによる生活援助と外出支援を組み合わせた生活支援サポート事業の充実を図るとともに、認知症の方やその家族を支援する生活支援や、見守り活動の強化のほか、認知症サポーターへのステップアップ講座を実施してまいります。
また、介護サービスの円滑な運営については、介護サービスを支える人材の確保が喫緊の課題であり、引き続き、介護職員初任者研修受講補助事業を実施してまいります。
次に、障がい者福祉について述べてまいります。
障がい者自立支援給付事業や地域生活支援事業など各種サービスや総合的な相談支援対応を図りながら、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、それぞれの状況やニーズに応じたサービスを提供し、住み慣れた地域の中で安心して自分らしく自立した生活ができるよう支援してまいります。
次に、社会保障について述べてまいります。
国民健康保険特別会計については、引き続き、特定健診の受診勧奨や自己負担を無料とし、併せて、人間ドック、脳ドック、高齢者インフルエンザ予防接種助成事業の継続など、疾病予防や重症化予防のための事業を積極的に進め、病気の早期発見、早期治療により、増加する医療費の抑制に努めながら、健全運営を目指してまいります。
第4 育むまち
はじめに、子育て支援の充実について述べてまいります。
安心して子育てができる環境の確保を目指し、町内外で運営されている保育園・認定こども園等との連携を図り、保護者の就労状況や家庭状況など個々のニーズに沿える保育選択の相談支援を強化するとともに、認可外保育施設を利用する0歳児から2歳児までの保育料負担を軽減するため、保護者の所得に応じて助成金を支給し、待機児童を発生させない対策を図ってまいります。
また、町内保育園の完全給食化を実施し、子どもたちに温かいごはんを提供するとともに、保護者負担の軽減を図ってまいります。
ひとり親家庭については、生活基盤の安定を図るため、就労や生活相談などの支援を進めてまいります。
放課後児童健全育成事業については、公立及び民間の学童保育クラブが連携し、公立と民間を合わせた受入れ可能数と利用者数の推移を見極めながら、待機児童を発生させない取組を進めてまいります。
具体的には、公立と民間の利用料差額の助成について、一人当たり最大4,000円を円を6,000円に増額するとともに、公立学童保育のみが実施していた多子世帯の利用料助成分を民間学童保育にも適用し、保護者の負担を軽減してまいります。
本町地区及び大中山地区の各「子育て支援センター」並びに大沼多目的会館で実施している「ちびっこ広場」を、地域子育ての支援拠点として、子育てに関する相談や情報提供と、親子交流などのイベントを開催しながら楽しく子育てができるよう子育て世代を支援してまいります。
また、子育て支援アプリ「ななっぷる」を活用し積極的に子育て情報を発信してまいります。
支援が必要な児童や家庭に対しては、昨年開設した「七飯町子ども家庭総合支援拠点」の下、庁内関係部局が連携し子どもと保護者に寄り添った支援を展開するとともに、児童相談所、教育委員会、保育所などの関係機関との情報共有を図りながら、児童虐待の未然防止・早期発見・早期対応の対策強化に努めてまいります。
また、多様な取組を行っている民間団体と連携し、子どもの居場所の確保など必要な支援を進めてまいります。
これらの子育て世代への支援の拡充を図るため、「子ども・子育て応援基金(仮称)」の創設を検討し、子育てをしやすい環境づくりに取り組んでまいります。
次に、教育関係について述べてまいります。
教育関係については、教育行政方針において、学校教育、生涯教育、スポーツ振興など詳細に示されておりますので、尊重してまいります。
学校教育の充実については、子育て世帯を支援するため、小学校への新入学時に必要な教材等の学用品の購入に対して助成し、負担軽減を図ってまいります。
第5次七飯町総合計画に基づく図書館、スポーツセンター等の社会教育施設整備については、庁内外に検討委員会を設置し、基本構想、基本計画を策定してまいりますが、施設整備の財源の確保については、計画的に社会教育施設整備基金へ積み立ててまいります。
また、本年度から東大沼多目的グラウンド(トルナーレ)の維持管理については、民間委託を進めてまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響により中断されていた広島への平和大使派遣事業については、再開し、平和教育事業の一環として町内中学生6名を派遣してまいります。
姉妹都市アメリカ・コンコード町への海外交流派遣研修事業については、新型コロナウイルス感染症の感染状況を考慮しながら、実施に向けた検討をしてまいります。
国内交流については、姉妹都市香川県三木町をはじめつながりのある自治体と交流を深めてまいります。
第5 活気とにぎわいのまち
はじめに、農林水産業の振興について述べてまいります。
農業については、経済活動の正常化が進みつつあり、農畜産物の消費等に関係する外食産業は上向き基調の動きがみられるものの、国際情勢等の影響を含め依然として予断を許さない状況ですが、今後も継続的に食料の安定供給が求められる中、担い手の確保や、集出荷予冷施設の活用により、引き続き、産地の差別化と高品質で安全、安心な農畜産物の生産・出荷に努めてまいります。
林業については、森林環境譲与税や七飯町森林環境譲与税基金を財源とした、木育支援活動や二酸化炭素吸収源としてカーボンニュートラルにも貢献する民有林の整備に向けた事業を実施してまいります。
また、七飯町森林組合と連携し各種町有林事業等を実施してまいります。併せて、災害・防災対策の一環として、引き続き、治山事業の要望を行ってまいります。
大沼の内水面漁業については、生態系への影響が生じないよう、漁業資源の確保に注視しつつ、大沼環境保全対策協議会をはじめとした関係機関と連携し、水質改善に資する活動等を支援してまいります。
次に、商工業について述べてまいります。
商工業については、中小企業の産業振興と経営の安定化を図るため「商工業経営安定資金融資保証料補給」及び「商工業経営安定資金融資利子補給」を継続してまいります。
また、町内の消費拡大と町内企業への活力を与え、域内循環の促進を図るため、「ななえ赤松街道納涼祭」、「ななえ町グルメ発表会」のイベントを支援してまいります。
さらに、公益財団法人函館地域産業振興財団などと協力し、創業支援事業及び函館地域経済牽引事業促進協議会における事業などで地域経済の活性化を図るとともに、企業誘致を進めてまいります。
併せて、地域活性化企業人制度を活用しながら地域産品の開発を進め、「ふるさと納税」の寄附の拡大に向けた取組を積極的に推進し、安定した財源となるように努めてまいります。
物産振興については、ななえ町物産振興協議会の活動を支援するほか、地場産品の販路拡大及び物産振興を推進するため「物産展等出店支援補助」を実施してまいります。
次に、観光について述べてまいります。
観光については、大沼国定公園を中心とした優れた自然を活かし、今年の秋に開催される「アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道」を見据えて、体験観光をさらに推進するため、大沼体験観光づくり実行委員会の事業を支援するとともに、一般社団法人七飯大沼国際観光コンベンション協会など関係団体と連携しながら「大沼湖水まつり」、「大沼函館雪と氷の祭典」など様々なイベントの開催を通じて観光振興に取り組んでまいります。
また、地域活性化企業人制度を活用し、食・観光及びイベントなどSNSによる情報発信を強化してまいります。
次に、雇用対策について述べてまいります。
雇用対策については、雇用機会の拡大を図るため、特定求職者を雇用する事業主に対して、国の助成金に上乗せして補助をしてまいります。
また、町内の求人情報の周知などハローワークと連携していくほか、南渡島通年雇用促進支援協議会を通じて、事業者に対して通年雇用化への働きかけを継続するとともに、通年雇用に必要な資格や技術向上を図るための技能講習などを実施し、就労と雇用を促進してまいります。
さらに、七飯町シルバー人材センターと連携し、高齢者が働くことを通じた社会参加と生きがいの充実を目指してまいります。
第6 ともに歩むまち
はじめに、協働のまちづくりについて述べてまいります。
町民と行政と議会が協力し合い、自ら考え、行動し、暮らしの声を生かした町民主体の協働のまちづくりが必要であります。
「町民の声を生かして創る」まちづくりを進めるため、昨年から開催している地域懇談会(タウンミーティング)の効果的な運用により、町政運営の参考あるいは町政に反映するためのご意見を拝聴し生かせるよう努めてまいります。
次に、自立する自治体経営について述べてまいります。
新型コロナウイルス感染症や物価高騰等の歳入・歳出両面における影響のほか、少子高齢化の進展に伴う社会保障関係費の増加や公共施設等の老朽化による施設の改修・修繕等の経費が大幅に増加するなど、今後も厳しい財政運営が続くことが予想されます。
そのような中にあっても、町民生活に必要な行政サービスを安定的に提供しつつ、重要施策の推進や新たな課題に対応するために必要な財源を確保できるよう、引き続き、第6次行財政改革大綱に沿って、将来にわたり持続可能な財政基盤の構築に向けて取り組んでまいります。
また、歳入の積極的な確保としては、国や北海道からの有利な補助金の確保や徴収すべき歳入の向上に積極的に取り組むとともに、自立経営の視点に立ち、未利用資産の売払いや利活用、ふるさと納税や企業版ふるさと納税寄附金の積極的な受入れなど、様々な工夫を凝らして多様な財源の確保に努めてまいります。
4 むすび
以上、本年度の町政執行についての所信と主な施策の概要について、述べさせていただきました。
終わりになりますが、本年度から、町民待望の図書館とスポーツセンターの基本構想・基本計画に着手しますが、町民の声を生かして進めてまいります。
また、これからの時代に重要となるゼロカーボン施策やDX(デジタルトランスフォーメーション)施策、老朽化した公共施設の長寿命化施策など、時代のニーズに対応すべく「町民の声を生かして創る七飯町」を築いてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
町民の皆様の暮らしを守るため、議会議員の皆様及び町民の皆様と積極的に対話し、協調と融和によって全職員一丸となって町政を執行してまいりますので、皆様の力強いご支援ご協力をお願い申し上げ、本年度の施政方針といたします。
PDF令和5年度 七飯町施政方針 (618.7KB)