令和6年度 七飯町施政方針
1 はじめに
令和6年第1回七飯町議会定例会の開会に当たり、本年度の町政執行に臨む基本姿勢と施策の一端を申し述べ、議会議員の皆様をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
令和4年4月、町民の皆様から町政執行の任務を与えられ、重責を担って3年目を迎えます。任期折り返しの年に当たり今までの2年間、社会情勢の変化や気候変動、議会での話し合いの中で、様々な課題や施策の提案がありました。反省を加えながら初心にたちかえり、「町民の声を生かして創る七飯町」を基本に当面する諸課題に積極的に取り組み、町民の皆様の負託に応えられるよう決意を新たにしております。
令和6年元日に発生しました能登半島地震の被害によって亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災されました方々にあらためてお見舞い申し上げます。
能登半島では、半島特有の道路事情もあり、交通網の寸断などにより救助や支援・復興の難しさがあるように伺っており、渡島半島に位置する七飯町としても、半島地域の基盤整備や産業振興を北海道や管内の近隣市町とも連携しながら取り組む必要があるものと再認識したところでございます。
一方、昨年度は、決算の不認定や赤松街道に関する事務の不足・不手際をはじめご心配をおかけした件など深く反省したところでございます。
七飯町をより良くするための思いはこれまで以上に強く、その責任も重いものでございます。
各部署における情報の共有と連携、報告・連絡・相談体制など、常に改善・改革を意識し、「未来に向かって輝く七飯町」の実現のため、誠心誠意努めてまいります。
職員の先頭に立って全身全霊で職務を遂行する決意でございますので、議会議員の皆様及び町民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2 町政に臨む基本方針
日本全体に目を向けますと、年初から自然災害による不安を多くの町民の方々も感じているのではないでしょうか。
安全安心を未来につなげ、いきいきと暮らせるように「未来に向かって輝く七飯町」を基本に町政に挑んでまいります。
全国各地で毎年のように発生する大規模な自然災害に鑑み、当町は、活火山駒ヶ岳防災対策だけではなく地震や暴風雨などの自然の猛威への対処を防災の観点から進めておりますが、昨年の夏の猛暑は、函館で気象観測が始まった明治5年以来、8月に初めて35.4度を記録したところであり、猛烈な暑さは小さなお子さんやご年配の方の命をも脅かすものであり、暑さ対策を順次進めるなど、町民の皆様の安全安心の確保を最優先に取り組んでまいります。
次に、急激な人口減少も喫緊の課題として叫ばれている中で、当町もいかにして人口減少を最小限にとどめるかが、将来のまちづくりの大きなポイントとなります。
第2期七飯町まち・ひと・しごと創生総合戦略(令和2年3月策定)を基本に、人口減少の進行を最小限にとどめられるよう、次の4つの基本的視点により、引き続き、具体的な施策を実行してまいります。
(1) 子どもを安心して産み育てられる。
(2) 住み続けたいと思える生活環境を整える。
(3) 食や観光をはじめとする力強い産業と雇用の場をつくる。
(4) 七飯町らしさを活かして人を呼び込み・呼び戻す。
令和6年1月末に総務省から公表された2023年の住民基本台帳人口移動報告によると、当町への転入者が転出者を上回るいわゆる「社会増」から5年ぶりに「社会減」に転じ、人口減少の傾向が当町にも表れております。
人口減少の中でも、誰一人取り残すことなく、不安なくいきいきとした幸福感や満足感を感じながら充実した生活がおくれるような活力に満ちたまちを形成していくには、きめ細やかな施策が重要であり、子育て支援、住環境の整備、企業誘致、教育の充実、産業の育成を推し進めてまいります。
次に、北海道新幹線は2030年に札幌延伸を目指しておりますが、当町に所在する函館新幹線総合車両所においても、フル稼働を見据え、着発収容庫やその他設備の増設工事が始まっており、総合車両所を中心とした雇用拡大が見込まれます。
そして、北海道縦貫自動車道大沼トンネル七飯西大沼工区、峠下工区の本坑工事が3年前倒しで着工となりました。完成後には、南北海道の交通の要衝となることが見込まれるなど、道の駅「なないろ・ななえ」付近が流通拠点となることを見据え、これまで整備されたインフラを最大限活用して、新たな企業誘致を進め、雇用拡大・確保に努めてまいります。
また、新幹線をはじめとした交通インフラの充実を好機と捉え、後継者の育成、持続可能な雇用体制と人材確保、さらには移住・定住を促していく上での出発点としてまいります。
本年度の町政に臨むに当たり、社会経済情勢の変化に的確かつ迅速に対応し、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供とより効果的・効率的な行政運営の実現に向けて、全庁を挙げて取り組んでまいります。
町政運営の指針であります現在の第5次七飯町総合計画は、令和7年度が最終年度となることから、第6次計画の策定に向けて取り組んでまいります。
子どもたちの学校生活における安全安心を確保するため、学校のエアコン整備と七飯中学校の長寿命化改修を推し進めてまいります。
詳細な施策の概要につきましては、次の「主要施策の推進」でご説明申し上げますが、事務事業の優先順位を見極めながら、一般会計128億円の予算を編成いたしましたので、ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。
3 主要施策の推進について
本年度の主要施策については、第5次七飯町総合計画の基本構想及び基本計画に沿って、ご説明申し上げます。第1 安全・便利なまち
はじめに、道路・交通ネットワークについて述べてまいります。道路の整備については、関係機関と連携を図りながら、安全で安心な交通網の形成に努めてまいります。
本年度の町道整備については、社会資本整備総合交付金事業で1路線の整備事業、橋梁長寿命化関連で3橋梁の修繕事業、久根別川広域河川改修事業に伴う道負担金事業で1橋梁の架替関連事業、単独事業で17路線の改良舗装及び排水設備工事を実施してまいります。
国道については、北海道縦貫自動車道大沼公園インターチェンジから七飯インターチェンジ間のトンネル工事の本坑工事についても着手されておりますが、さらなる早期完成を要望してまいります。
道道については、大沼公園鹿部線、大沼公園線、大野大中山線及び七飯大野線の整備促進について、引き続き、北海道に要望してまいります。
河川については、北海道が事業主体の久根別川広域河川改修事業のほか、藤城川、水無沢川及び蒜沢川の砂防事業の整備促進について、引き続き、要望してまいります。町河川については、2河川の浚渫工事、1河川の排水路整備のほか、維持、補修工事についても施工してまいります。
地域公共交通については、七飯町地域公共交通計画に基づき、1月から大沼地区移動支援実証実験として「大沼お出かけ号」を運行しています。この実施結果を基に、より効果的で利用しやすい公共交通施策の展開に向けて、鉄道、路線バス、タクシー等既存交通手段に加え、新たな交通手段の可能性を含めた総合的な交通体系の構築に向けた検討を重ねつつ、町民をはじめ、人々の移動の利便性を向上させる持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向け努めてまいります。
次に、住宅・市街地の整備について述べてまいります。
空き家対策については、七飯町空家等対策計画に基づいた空き家の適正管理を推進するため、七飯町空家等除却費補助金制度などの活用により市街化区域内の旧耐震構造の空き家を除却し、住宅の建て替え促進と周辺環境に影響を与える恐れのある危険な特定空家の解消に努めてまいります。
公営住宅の整備については、本町上台団地及び桜B団地の屋根と外壁の長寿命化改修工事を引き続き施工してまいります。
また、本町上台団地、桜団地及び緑町団地の政策空家については、本年度より計画的に解体を進め、それぞれの地域特性を活かした土地利用を図ってまいります。
次に、交通安全対策・防犯について述べてまいります。
交通安全対策については、児童・生徒・高齢者の安全確保のため、歩行者を最優先とする意識醸成のための広報活動、スピードダウンやシートベルト着用をはじめとする安全意識の向上のための街頭運動、自ら安全を守るための交通安全教育など、地域や学校、関係機関と連携しながら、広く交通安全運動を展開してまいります。
また、超高齢社会に伴い、高齢ドライバーが増加する中で、運転操作ミス等による痛ましい事故が発生していることに鑑み、運転に不安のある70歳以上の運転免許証自主返納者を対象に、引き続き、高齢者運転免許証自主返納支援事業を実施し、交通安全対策を進めてまいります。
防犯については、被害の未然防止に向け、警察や地域及び関係諸団体との連携を一層密にし、安全で安心して暮らせるまちづくりを目指してまいります。
また、外灯のLED照明については、外灯組合や町内会等関係団体と協働し、引き続き維持管理に努めてまいります。
次に、消防・救急・防災について述べてまいります。
消防及び救急については、本年度、南渡島消防事務組合において七飯消防署に配備している水槽付消防ポンプ自動車及び救助資器材の更新を予定しており、七飯消防署の設備充実が図られるよう、引き続き、同事務組合と連携してまいります。
防災については、本年元日に発生した「令和6年能登半島地震」を踏まえ、函館平野西縁断層帯を震源とする地震や駒ヶ岳噴火に備えるため、非常食などの備蓄を確保していくほか、広報誌、防災行政無線・ラジオ機能付き戸別受信機、地域コミュニティFMを活用した「町政だより七飯町」による情報発信などにより、防災・減災意識のより一層の高揚に努めてまいります。
また、太平洋側を震源とする大地震による津波災害に関しては、近隣市町との広域連携に向けて協議を進めてまいります。
次に、情報ネットワークについて述べてまいります。
デジタル技術・情報通信技術を最大限に活用しながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進し、各種届出・申請のオンライン化などにより住民の利便性を向上させるとともに、業務の効率化を図り、行政サービスのさらなる向上につなげてまいります。
マイナンバーカードについては、コンビニエンスストアでの戸籍関係証明書等交付サービスや医療機関等での健康保険証利用のほか、オンラインによる税の確定申告や転出届が可能なことから、引き続き、普及促進に努めてまいります。
第2 快適なまち
はじめに、環境施策の総合的推進について述べてまいります。
有害鳥獣駆除については、鳥獣被害防止計画に基づき、鳥獣被害対策実施隊と連携し、捕獲従事者の育成のほか、新たにヒグマの春期管理捕獲事業を実施するなど人身被害の防止と農業被害の防止に取り組んでまいります。
大沼環境保全対策については、ラムサール条約登録湿地である大沼の豊かな自然環境を次世代につなぐため、大沼ラムサール協議会の活動を支援するなど各関係機関と連携し、環境保全の施策を進めてまいります。
また、次代を担う子どもたちの環境学習の一環として、大沼の自然環境観察を通して自然の大切さやふるさとの魅力の一端に触れ、素晴らしい自然を未来につなげ成長し続ける人材の育成に努めてまいります。
さらに、大沼の豊かな自然環境を町外の方に広く知っていただき、七飯町への移住・定住や関係人口拡大に向けて、引き続き、移住体験の提供を実施してまいります。
大沼の水質浄化対策については、北海道と連携し、湖水や流入河川の監視と測定を行い、その結果や現場の状況に合った改善対策を実施するなど、大沼環境保全計画に基づいた水質浄化に努めてまいります。
地球温暖化対策については、昨年度に七飯町ゼロカーボン達成目標を設定したところであり、本年度はその目標を達成するため、温室効果ガスの排出量削減等を行うための再生可能エネルギーの導入、省エネルギーの促進、緑化推進、廃棄物等の発生抑制等循環型社会の形成等について定める「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を策定してまいります。
下水道処理区域外の生活排水対策については、合併処理浄化槽の設置を推進し、引き続き、公共用水域の水質汚濁の防止と生活環境の保全に努めてまいります。
次に、循環型社会の構築について述べてまいります。
廃棄物対策については、「ごみの発生抑制、再使用、再生利用」いわゆる3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進することにより、SDGs社会の実現に向けた社会状況の変化を踏まえ、環境に配慮した資源循環社会の構築を目指してまいります。
また、一般廃棄物最終処分場については、効率的かつ計画的な運用を図るため、延命化に向けて準備を進めてまいります。
次に、上下水道事業の経営について述べてまいります。
水道事業については、水道水を安定供給するため、各種計画等に基づき施設の適切な維持管理を実施してまいります。
また、災害発生時の被害軽減と将来にわたり安心して町水道を利用していただくために必要となる水道施設の更新及び耐震化を継続してまいります。
さらに、経営能率の追求と独立採算による経営を堅持しながら、必要となる資金確保を図るべく、利用者の理解を得ながら、七飯町公営企業経営審議会より答申された水道料金の適正化を実現してまいります。
下水道事業については、汚水の安定処理のため、平成30年度に策定した経営戦略の見直しを進めるほか、各種計画等に基づき施設の適切な維持管理及び更新を実施してまいります。
また、特定環境保全公共下水道の経営効率化等を目的とする広域化処理に必要な調査・測量等を継続し、関係機関との占用や負担等に関する協議を進め、将来の汚水管路更新等を見据えた下水道事業の経営に努めてまいります。
第3 ふれあい・安心のまち
はじめに、保健・医療体制の充実について述べてまいります。
保健については、社会環境や生活の変化による様々な健康課題に向けて、生涯にわたり健康でいきいきと暮らしていけるよう、町民一人一人が主体的に自ら積極的な健康づくりや食生活の改善を目指すとともに「生きることの包括的な支援」を受けられるよう、家庭、地域、社会全体で支援する環境づくりを効果的に推進するため、令和6年度から令和11年度までを計画年度とする「第4期健康づくり基本計画」に基づき保健事業を展開してまいります。
町民が楽しみながら健康づくりに取り組むことができるよう、町民の健康活動にポイントを付与する「健康アプリ」の導入を目指し、本年度においては実証実験を行ってまいります。
従前までの健康施策に加え、引き続き、50歳以上の全町民を対象に帯状疱疹ワクチン費用の自己負担額を半額助成し、免疫低下による疾患リスクを軽減する対策を強化いたします。
また、町全体で自殺対策を推進するため、ゲートキーパーなどの人材育成を継続的に図るほか、民生委員等をはじめ町民に対する研修の機会を拡充してまいります。
これまでの新型コロナウイルスワクチン接種事業については、令和6年度から国の定期接種事業へ移行し、継続してまいります。
母子保健については、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない子育て支援を行うため、保健センター内に設置されている「子育て世代包括支援センター」において、妊娠・出産・子育てに関する必要な情報提供・助言、保健指導を行ってまいります。
また、国の交付金事業として町が事業主体となる出産・子育て応援交付金事業を推進し、妊婦及び子育てをしている家庭に寄り添い、面談や継続的な情報発信等を行うことを通じて必要な支援につなげる伴走型相談支援と子育てに必要な経済的支援を引き続き行ってまいります。
さらに、健やかな成長の確認とともに、就学に向けた準備を目的とする5歳児健診事業については、保健師・幼保職員・教育委員会や学校などの関係機関が協力し合い、健診後のケアや就学までのサポート支援を行うなど、町独自の施策として継続的に実施してまいります。
次に、地域福祉について述べてまいります。
各種サービスの安定的な提供を図るため、介護サービスを支える人材の確保が喫緊の課題であることから、引き続き、介護職員初任者研修受講補助金交付事業を実施していくとともに、新たに、町内の介護保険及び障がい福祉の事業所に新規就労される介護職員に対し、奨励金の支給を行ってまいります。
また、地域における支え合い活動を推進するため、生活支援体制整備事業・要援護者支え合い事業・ボランティアポイント事業の実施により、支援を必要としている人と支援をする人をマッチングできる仕組みを充実させていきます。
さらに、介護・障がい・子ども・生活困窮の各分野に属さない相談や、8050問題等、複雑・複合化した支援ニーズに対応するため、分野や属性・世代を問わず包括的に相談支援を実施する重層的支援体制整備事業を推進していくとともに、安全・安心な地域づくりを推進していくため、判断能力が不十分な方を法律面や生活面で支援する成年後見制度の利用促進を図ってまいります。
次に、高齢者福祉について述べてまいります。
高齢者の方々が主体的に健康づくりや生活習慣の改善に取り組めるように支援するとともに、元気な高齢者が、老人クラブ・老人クラブ連合会などで行う健康・友愛・地域貢献活動などを通じて、生きがいを持って生活することで、人生100年時代を見据えた高齢者の健康増進を支援してまいります。
介護保険事業については、町民の方々が自ら健康に関心を持ち、地域において主体的に健康活動に取り組む支援を行うとともに、地域住民との協働による地域介護予防活動支援事業の支援や、有償ボランティアによる生活援助と外出支援を組み合わせた生活支援サポート事業の充実を図ってまいります。
また、今後も認知症の方の増加が予測されるため、認知症の方やその家族を支援する生活支援や、見守り活動の強化のほか、認知症サポーターへのステップアップ講座の開催により、地域と一体となった取組を推進してまいります。
次に、障がい者福祉について述べてまいります。
障がい者の方が、生活環境やニーズに応じて、住み慣れた地域で安心して自分らしく自立した生活ができるよう、各種サービスの拡充や基幹相談支援センターとの連携により包括的な相談支援体制の強化を図ってまいります。
次に、社会保障について述べてまいります。
国民健康保険特別会計については、引き続き、特定健診の受診勧奨や自己負担を無料とし、併せて、人間ドック、脳ドック、高齢者インフルエンザ予防接種助成事業の継続など、疾病予防や重症化予防のための事業を積極的に進め、病気の早期発見、早期治療により、増加する医療費の抑制に努めながら、健全運営を目指してまいります。
第4 育むまち
はじめに、子育て支援の充実について述べてまいります。
安心して子育てができる環境の確保を目指し、出産前後の母及び家庭への支援から幼児期の教育・保育の提供体制の確保、地域子ども・子育て支援事業を計画的に行うため、子育て世代のニーズに対応した「第3期七飯町子ども・子育て支援事業計画」を策定してまいります。
また、町内外で運営されている保育園・認定こども園等との連携を図り、保護者の就労状況や家庭状況など個々のニーズに沿った保育選択の相談支援を継続するとともに、認可外保育施設を利用する0歳児から2歳児までの保育料負担を軽減するため、引き続き、保護者の所得に応じて助成金を支給するなど、待機児童を発生させない対策を図ってまいります。
そして、町内保育園の完全給食化を継続し、子どもたちに温かいごはんの提供と保護者負担の軽減を図ってまいります。
さらに、保育人材を確保するため、町内の保育施設に新規就労される保育士や一定期間就労される保育士に対し、新たに、保育士等就労奨励金を支給し保育環境の充実を図ってまいります。
放課後児童健全育成事業については、公営及び民営の学童保育クラブが連携し、受入れ可能数と利用者数の推移を見極めながら、待機児童を発生させない取組を進めるとともに、引き続き公営と民営の利用料差額の一部と多子世帯に対する利用料助成を実施し、保護者の負担を軽減してまいります。
大中山地区に建設予定の民営の認定こども園に対する整備支援並びに大沼岳陽学校隣接地に建設が予定されている民営の保育園・学童保育併設施設に対する整備支援を進め、官民一体となった幼小連携を図ってまいります。
また、老朽化により早急な整備が必要な本町学童保育施設については、早期に候補地選定及び整備手法を決定し、事業に着手してまいります。
本町地区及び大中山地区の「子育て支援センター」並びに大沼多目的会館で実施している「ちびっこ広場」を、地域子育ての支援拠点として、子育てに関する相談や情報提供と、親子交流などのイベントを開催しながら楽しく子育てができるよう子育て世代を支援してまいります。
また、子育て支援アプリ「ななっぷる」を活用し積極的に子育て情報を発信してまいります。
支援が必要な児童や家庭に対しては、「七飯町子ども家庭総合支援拠点」により、庁内関係部局が連携し子どもと保護者に寄り添った支援を展開するとともに、児童相談所、教育委員会、保育所などの関係機関との情報共有を図りながら、児童虐待の未然防止・早期発見・早期対応の対策強化に努めてまいります。
また、多様な取組を行っている民間団体と連携し、子どもの居場所の確保など必要な支援を進めてまいります。
次に、教育関係について述べてまいります。
教育関係については、教育行政方針において、学校教育、生涯教育、スポーツ振興など詳細に示されておりますので、尊重してまいります。
学校施設整備については、各学校の普通教室等へのエアコンの整備を進めるとともに、今年度七飯中学校の長寿命化改修工事に着手してまいります。
平和大使派遣事業については、平和の尊さ、大切さを体験してもらうための平和教育事業の一環として、町内中学生を長崎市へ派遣してまいります。
国際交流については、国際的視野に立つ豊かな人材を育成するため、大沼岳陽学校、七飯中学校、大中山中学校及び北海道七飯高等学校の中高校生を姉妹都市であるアメリカ・コンコード町へ派遣してまいります。
国内交流については、引き続き、姉妹都市である香川県三木町との交流事業を実施してまいります。
第5 活気とにぎわいのまち
はじめに、農林水産業の振興について述べてまいります。
農業については、地域農業を持続させていくためにも、目指すべき将来の農地利用として、誰が・どこの農地で農業を営むのかなどを農業経営基盤強化促進法の改正に基づき「地域計画」を定めてまいります。
また、農業に新規参入する方へ町独自の「新規就農者支援事業補助金」を活用した担い手の確保や、引き続き、集出荷予冷施設の活用により、産地の差別化と高品質で安全、安心な農畜産物の生産・出荷に努めてまいります。
林業については、森林環境譲与税を財源とした、木育支援活動やカーボンニュートラルに貢献し、二酸化炭素吸収源となる民有林の整備に向けた事業を実施してまいります。
また、七飯町森林組合と連携し現地調査などを効率的に行うため、ドローンなどの技術を活用し各種町有林事業等を実施してまいります。併せて、災害・防災対策の一環として、引き続き、治山事業の要望を行ってまいります。
大沼の内水面漁業については、生態系への影響が生じないよう、漁業資源の確保に注視しつつ、大沼環境保全対策協議会をはじめとした関係機関と連携し、水質改善に資する活動等を支援してまいります。
次に、商工業について述べてまいります。
商工業については、「商工業経営安定資金融資保証料補給」及び「商工業経営安定資金融資利子補給」を継続し、中小企業の振興と経営の安定化を図ってまいります。
また、町内の消費拡大と町内企業への活力を与え、地域振興及びコミュニティの活性化を図るため、「ななえあかまつ街道納涼祭」、「ななえ町オール物産グルメフェア」のイベントを支援してまいります。
さらに、公益財団法人函館地域産業振興財団などと協力し、創業支援事業をはじめとした各種事業に取り組むほか、函館地域経済牽引事業促進協議会における事業などで豊かな資源や交通利便性の高さなどの立地条件をアピールした企業誘致を進めるなど、地域経済の活性化に取り組んでまいります。
加えて、ふるさと納税の寄附の拡大に向けては、地域おこし協力隊を活用し、取扱返礼品の開発・発掘を行い、安定した財源となるように努めるとともに、その活動を通じ事業者が抱える課題やニーズのヒアリングを行い、担い手不足や事業承継の解決に向け取り組んでまいります。
物産振興については、ななえ町物産振興協議会の活動を支援するほか、地場産品の販路拡大及び物産振興を推進するため「物産展等出店支援補助」及び「特産品PR等事業補助」を実施してまいります。
次に、観光について述べてまいります。
観光については、地域おこし協力隊を活用し大沼国定公園に代表される豊かな自然をはじめ、四季を通じたアクティビティや恵みあふれる食など様々な情報の発信を強化してまいります。
また、台湾プロモーション事業補助によりインバウンド対策を強化するとともに、一般社団法人七飯大沼国際観光コンベンション協会、一般社団法人ぐるり道南観光推進協議会など関係団体と連携しながら「大沼湖水まつり」、「北海道大沼グレートラン・ウォーク」、「大沼ハロウィンナイト」、「大沼函館雪と氷の祭典」など様々なイベントの開催を通じて観光振興に取り組んでまいります。
次に、雇用対策について述べてまいります。
雇用対策については、町内の求人情報の周知などハローワークと連携していくほか、南渡島通年雇用促進支援協議会を通じて、通年雇用に必要な資格や技術向上を図るための技能講習などを実施するとともに、特定求職者を雇用する事業主に対して、国の助成金に上乗せして雇用支援を行ってまいります。
また、人生100年時代を迎える中、豊富な知識や技能を持つ高齢者の方々が、生きがいを感じながら働き、その能力を十分発揮できる環境づくりを七飯町シルバー人材センターと連携して目指してまいります。
第6 ともに歩むまち
はじめに、協働のまちづくりについて述べてまいります。
町民と行政と議会が協力し合い、自ら考え、行動し、暮らしの声を生かした町民主体の協働のまちづくりが必要であります。
「町民の声を生かして創る」まちづくりを進めるため、地域懇談会(タウンミーティング)を開催し、町政運営に反映するためのご意見を拝聴し生かせるよう努めてまいります。
次に、自立する自治体経営について述べてまいります。
少子高齢化の進展に伴う社会保障関係費の増加や、公共施設の老朽化による改修・修繕経費等の増加に加え、昨今の物価高騰の影響が見込まれるなど、七飯町の財政は今後も厳しい状況が続くものと予想されます。
そのような中にあっても、町民ニーズの的確な把握・分析により、事業対象を明確化し、新たな課題に効果的・効率的に対応できるよう引き続き、第6次行財政改革大綱に沿って、将来にわたり持続可能な財政基盤の構築に向けて取り組んでまいります。
また、国や北海道からの補助金の確保や徴収すべき歳入の向上に積極的に取り組むとともに、併せて、将来世代へ過度な負担を残さないよう、事業の選択と集中による町債発行額の抑制等により、町債残高の縮減に努めてまいります。
4 むすび
以上、本年度の町政執行についての所信と主な施策の概要について、述べさせていただきました。
「未来に向かって輝く七飯町」の実現に向け、時代のニーズを的確に捉え、創意工夫とチャレンジ精神による施策を「町民の声を生かして創る七飯町」として執行してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
議会議員の皆様及び町民の皆様と積極的に対話し、協調と融和によって全職員一丸となって町政を執行してまいりますので、皆様の力強いご支援ご協力をお願い申し上げ、本年度の施政方針といたします。
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