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令和7年度 七飯町施政方針

七飯町長 杉原 太

1 はじめに

 令和7年第1回七飯町議会定例会の開会に当たり、本年度の町政執行に臨む基本姿勢と施策の一端を申し述べ、議会議員の皆様をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 私は、町民の皆様から町政執行の任務を与えられ、重責を担って4年目に入り、任期最終の年度を迎えました。

 町政の発展と福祉の向上を目指し、誰もが文化・スポーツに親しみ、いつまでも心身ともに元気に暮らす健康寿命の向上、子育て世代の負担軽減と子育てが楽しいまちづくりの実現に向けて「町民の声を生かして創る七飯町」を基本に、当面する諸課題に積極的に取り組み、町民の皆様の深いご理解と温かいご支援の下、負託に応えられるよう決意を新たにしております。

 昨年の元日に、能登半島で大地震が発生し、9月にも復興中の能登半島北部が豪雨災害により再び大きな被害を受けるなど、地球規模の気候変動や地殻変動が起きております。

 災害は決して他人事ではなく、いつどこで、私たちの身近でも起きるかも知れません。渡島半島に位置する七飯町としても、半島地域の基盤整備や産業振興を、北海道や近隣市町とも連携しながら取り組む必要があるものと再認識したところでございます。

 一方、道の駅「なないろ・ななえ」の合併処理浄化槽適正化において、町の建物としての管理監督責任の認識が低く、事務の不手際や改善対応の遅れによる行政の不信感を招いた件など深く反省したところでございます。
 七飯町をより良くするための思いはこれまで以上に強く、町政執行の責任も重いものでございます。

 各部署における情報の共有と連携、報告・連絡・相談体制など、常に改善・改革を意識し「未来に向かって輝く七飯町」の実現のため、誠心誠意努めてまいります。

 職員の先頭に立って全身全霊で職務を遂行する決意でございますので、議会議員の皆様及び町民の皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2 町政に臨む基本方針 

 七飯町は「赤松街道と大沼国定公園、そして函館新幹線総合車両所のまち」として、自然豊かな住環境と文化・芸術・スポーツに触れ、心身ともに健やかに生活できる環境づくりを目指しております。少子高齢化、人口減少社会が加速度を増してきましたが、互いに助け合い、あたたかい心のかよう、全ての町民が生きがいを持っていきいきと暮らせるように「未来に向かって輝く七飯町」を基本に町政に挑んでまいります。

 急激な人口減少も喫緊の課題として叫ばれている中で、当町もいかにして人口減少に歯止めをかけるかが、将来のまちづくりの大きなポイントとなります。
 第2期七飯町まち・ひと・しごと創生総合戦略を基本に、人口減少の対応として次の4つの基本目標に沿って、引き続き具体的な施策を実行してまいります。
(1) 子どもを安心して産み育てられる
(2) 住み続けたいと思える生活環境を整える
(3) 食や観光をはじめとする力強い産業と雇用の場をつくる
(4) 七飯町らしさを活かして人を呼び込み・呼び戻す
 令和6年12月末までの1年間において、前年に引き続き当町への転入者数を転出者数が上回るいわゆる「社会減」となり、人口減少の傾向となっております。

 人口減少の中でも、誰一人取り残すことなく、不安なくいきいきとした幸福感や満足感を感じながら充実した生活がおくれるような活力に満ちた“まち”を形成していくには、きめ細やかな施策が重要であり、子育て支援、住環境の整備、企業誘致、教育の充実、産業の育成を推し進めてまいります。
 また、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、本年2月から14か月間にわたり学校給食費を完全無償化するなど、子育て世代の負担軽減とともに移住定住の促進に努めてまいります。

 次に、2030年に予定されていた北海道新幹線の札幌延伸が、トンネル工事が難航している影響で、開業時期が見通せない状況となっておりますが、当町においても函館新幹線総合車両所の発着収容庫等の増設による雇用拡大が見込まれることから、新函館北斗・札幌間の早期完成に向けて要望してまいります。

 そして、北海道縦貫自動車道大沼トンネルにおいては、避難坑が貫通し、引き続き七飯西大沼工区、峠下工区の本坑工事が行われており、完成後には、南北海道の交通の要衝となることが見込まれることから、道の駅「なないろ・ななえ」付近が流通拠点となることを見据え、これまで整備されたインフラを最大限活用して、新たな企業誘致を進め、雇用拡大・確保に努めてまいります。

 また、新幹線をはじめとした交通インフラの充実を好機と捉え、後継者の育成、持続可能な雇用体制と人材確保、さらには移住定住を促していく上での出発点としてまいります。

 本年度の町政に臨むに当たり、社会経済情勢の変化に的確かつ迅速に対応し、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供とより効果的・効率的な行政運営の実現に向けて、全庁を挙げて取り組んでまいります。

 町政運営の指針であります現在の第5次総合計画は、本年度が最終年度となることから「第6次七飯町総合計画」の策定に向けて取り組んでまいります。

 詳細な施策の概要につきましては、次の「主要施策の推進」でご説明申し上げますが、物価高騰や労務単価の上昇に伴う経費の増加が見られるものの、事務事業の優先順位を見極めながら、一般会計122億6千2百万円の予算を編成いたしましたので、ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。

3 主要施策の推進について

 本年度の主要施策については、第5次七飯町総合計画の基本構想及び基本計画に沿って、ご説明申し上げます。

第1 安全・便利なまち

 はじめに、道路・交通ネットワークについて述べてまいります。
 道路の整備については、関係機関と連携を図りながら、安全で安心な交通網の形成に努めてまいります。
 本年度の町道整備については、社会資本整備総合交付金事業で1路線の整備事業、橋梁長寿命化関連で1橋梁の修繕事業、単独事業で22路線の改良舗装及び排水設備工事を実施してまいります。
 
 国道については、北海道縦貫自動車道大沼公園インターチェンジから七飯インターチェンジ間のトンネル工事の本坑工事が行われ、避難坑も貫通するなど工事が進捗しておりますが、さらなる早期完成を要望してまいります。

 道道については、大沼公園鹿部線、大沼公園線、大野大中山線及び七飯大野線の整備促進について、引き続き北海道に要望してまいります。

 河川については、北海道が事業主体の久根別川広域河川改修事業のほか、藤城川、水無沢川及び蒜沢川の砂防事業の整備促進について、引き続き要望してまいります。町河川については、2河川の浚渫しゅんせつ工事、2河川の改修のほか、維持、補修工事についても施工してまいります。

 地域公共交通については、七飯町地域公共交通計画に基づき、昨年から引き続き、大沼地区移動支援実証実験として「大沼お出かけ号」を運行します。
 本年度も効果的で利用しやすい公共交通施策の展開に向けて、鉄道、路線バス、タクシー等既存交通手段に加え、新たな交通手段の可能性を含めた総合的な交通体系の構築に向けた検討を重ねつつ、町民をはじめ、人々の移動の利便性を向上させる持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向け努めてまいります。

 次に、住宅・市街地の整備について述べてまいります。
 空き家対策については、七飯町空家等対策計画に基づいた空き家の適正管理を推進するため、七飯町空家等除却費補助金制度などの活用により市街化区域内の旧耐震構造の空き家を除却し、住宅の建て替え促進と周辺環境に影響を与える恐れのある危険な特定空家の解消に努めてまいります。

 公営住宅の整備については、本町上台団地の屋根や外壁の長寿命化改修工事を引き続き施工し、また、政策空家になっている本町上台団地及び桜団地については、計画的に解体を進め、それぞれの地域特性を生かした土地利用を図ってまいります。

 次に、交通安全対策・防犯について述べてまいります。
 交通安全対策については、全道的な交通死亡事故多発状況を鑑み、歩行者を最優先とする意識啓発のための広報活動、スピードダウンや「ながら運転」の防止をはじめとする安全意識向上のための街頭運動、自ら安全を守るための交通安全教育など、地域や学校、関係機関と連携しながら、広く交通安全運動を展開してまいります。
 また、加齢による運転操作ミス等が痛ましい事故につながっていることから、運転に不安のある70歳以上の運転免許証自主返納者を対象に、引き続き高齢者運転免許証自主返納支援事業を実施し、交通安全対策を進めてまいります。

 防犯については、近年は特殊詐欺による被害が全国的に発生していることから、未然防止に向け、警察や地域及び関係諸団体との連携を一層密にし、安全で安心して暮らせるまちづくりを目指してまいります。
 また、外灯のLED照明については、外灯組合や町内会等関係団体と協働し、引き続き維持管理に努めてまいります。

 次に、消防・救急・防災について述べてまいります。
 消防及び救急については、本年度、南渡島消防事務組合において七飯消防署に配備している高規格救急自動車の更新を予定しており、今後も七飯消防署の設備充実が図られるよう、引き続き同組合と連携してまいります。

 防災については、あらゆる災害に備えるため、避難所用簡易ベッドなどの備蓄をより一層確保していくほか、広報誌や防災行政無線、防災ラジオ機能付き戸別受信機の配付、地域コミュニティFMを活用した「町政だより七飯町」による情報発信などにより、防災・減災意識の啓発に努めてまいります。
 また、避難訓練では駒ヶ岳噴火や風水害など様々な災害を想定し、地域住民や町立学校とも連携し、より効果的な訓練となるようアップデートしていくほか、訓練への相互協力などを通じて北斗市との相互応援に関する覚書の実効性を高めてまいります。

 次に、情報ネットワークについて述べてまいります。
 デジタル技術・情報通信技術を最大限に活用しながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進し、各種届出・申請や町からの通知・お知らせのオンライン化などにより、町民の利便性を向上させるとともに、業務の効率化を図り、行政サービスのさらなる向上につなげてまいります。

第2 快適なまち

 はじめに、環境施策の総合的推進について述べてまいります。
 有害鳥獣駆除については、鳥獣被害防止計画に基づき鳥獣被害対策実施隊と連携し、捕獲従事者の育成のほか、ヒグマの春期管理捕獲事業を実施するなど、人身被害の防止と農業被害の防止に取り組んでまいります。

 大沼環境保全対策については、ラムサール条約登録湿地である大沼の豊かな自然環境を次世代につなぐため、大沼ラムサール協議会の活動を支援するなど各関係機関と連携し、環境保全の施策を進めてまいります。
 また、本年度は、湿地の保全や生態系に配慮して持続可能な形で利用するワイズユースの学習などを目的に、調査研究や活動をされている方々が全国から参加する「日本湿地学会第17回大会」が大沼で開催されます。
 そこで得た経験と学びを生かして環境学習の充実を図り、次代を担うこどもたちが、大沼の自然観察をとおして自然の大切さやふるさとの魅力に触れ、感じ、素晴らしい自然を未来につなげる人材の育成に努めてまいります。

 大沼の水質浄化対策については、北海道と連携し、湖水や流入河川の監視と測定を行い、その結果や現場の状況に応じた改善対策を実施するなど、大沼環境保全計画に基づいた水質浄化に努めてまいります。

 地球温暖化対策については、昨年度策定した「七飯町地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」に基づき、温室効果ガスの排出量削減等を行うため、省エネルギーの推進及び再エネ施設の導入等の各種施策に長期的視点で取り組んでまいります。

 下水道処理区域外の生活排水対策については、合併処理浄化槽の設置を推進し、公共用水域の水質汚濁の防止と生活環境の保全に努めてまいります。

 次に、循環型社会の構築について述べてまいります。
 廃棄物対策については、リデュース(ごみの発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)のいわゆる3Rを推進することにより、SDGs社会の実現に向けた社会状況の変化を踏まえ、環境に配慮した資源循環社会の構築を目指してまいります。
 また、一般廃棄物最終処分場については、効率的かつ計画的な運用を図るため、延命化に向けて準備を進めてまいります。

 次に、上下水道事業の経営について述べてまいります。
 水道事業については、水道水を安定供給するため、各種計画等に基づき施設の維持管理、更新及び耐震化を継続してまいります。

 下水道事業についても、汚水の安定処理のため、各種計画等に基づき施設の適切な維持管理及び更新を実施してまいります。
 また、特定環境保全公共下水道の経営効率化等を目的とする広域化処理に関し、議会議員の皆様及び町民の皆様の理解を得ながら、関係機関との協定並びに函館湾流域下水道事務組合規約の一部改正と併せ、下水道事業計画の見直しや詳細設計等を実施し、管路の更新等を見据えた下水道事業の経営に努めてまいります。

第3 ふれあい・安心のまち

 はじめに、保健・医療体制の充実について述べてまいります。
 保健については、社会環境や生活の変化による様々な健康課題に向けて、生涯にわたり健康でいきいきと暮らしていけるよう、町民一人一人が主体的に自ら積極的な健康づくりや食生活の改善を目指すとともに「生きることの包括的な支援」を受けられるよう、家庭、地域、社会全体で支援する環境づくりを効果的に推進するため、引き続き「第4期健康づくり基本計画」に基づき保健事業を展開してまいります。

 また、近年社会的問題となっている少子高齢化の現象は、医療現場においても例外ではありません。
 医師の高齢化や医療機関の減少など、将来的な課題を見据えた休日当番医体制の維持・強化を図るため、本年度から休日当番医を北斗市と合同で実施してまいります。

 町民の健康意識向上に対する取組として、昨年度、実証実験を行った「健康アプリ」については、引き続き導入に向けた検証を行ってまいります。
 また、町全体で自殺対策を推進するため、ゲートキーパーなどの人材育成を継続的に図るほか、民生委員等をはじめ町民に対する研修の機会を拡充してまいります。

 成人保健については、がんに罹患しても自分らしく生きることができる社会の実現を目指し、経済的負担や不安を和らげるため、新たにウィッグ等の医療用補整具の購入費用を助成してまいります。

 母子保健については、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない子育て支援を行うため、本年度から保健センター内に設置する「七飯町こども家庭センター」において、妊娠・出産・子育てに関する必要な情報提供・助言、保健指導を行ってまいります。
 特に母子疾病対策では、生後6か月以内に感染すると重症化が懸念される「RSウイルス」の感染及び重症化予防を図るため、新たに妊娠24週から36週の妊婦に対して、ワクチン接種費用の半額を助成してまいります。
 また、国の交付金事業として町が事業主体となる妊婦のための支援給付金事業を推進し、子育てに必要な経済的支援を行うとともに、妊婦及び子育てをしている家庭に寄り添い、面談や継続的な情報発信等を通じて、必要な支援につなげる伴走型相談支援を引き続き行ってまいります。
 現在、町が実施している乳幼児期の健診においては、新たに1か月児健診を加え、出産後の切れ目ない健診体制の充実に努めてまいります。
 さらに、健やかな成長の確認とともに、就学に向けた準備を目的とする5歳児健診事業については、保健師・幼保職員、教育委員会や学校などの関係機関が協力し合い、健診後のケアや就学までのサポート支援を継続的に実施してまいります。

 次に、地域福祉について述べてまいります。
 介護サービスを支える人材の確保については、引き続き介護職員初任者研修受講補助金交付事業を実施するとともに、町内の介護保険及び障がい福祉の事業所に新規就労される介護職員に対し、奨励金を支給してまいります。
 地域における支え合い活動の推進については、生活支援体制整備事業・要援護者支え合い事業・ボランティアポイント事業を継続するとともに、生活支援を担うボランティアへの奨励金を新たに支給してまいります。
 近年増加している8050問題等、複雑・複合化した支援ニーズへの対応については、分野や属性・世代を問わず相談に応じる包括的相談支援体制の一層の充実を図ってまいります。
 安全・安心な地域づくりの推進については、全国で多発する特殊詐欺被害を防ぐため、新たに防犯機能付き電話の購入費用を助成してまいります。

 次に、高齢者福祉について述べてまいります。
 高齢者の方々が主体的に健康づくりや生活習慣の改善に取り組めるように支援するとともに、元気な高齢者が、老人クラブ・老人クラブ連合会などで行う健康・友愛・地域貢献活動などを通じて、生きがいを持って生活することで、人生100年時代を見据えた高齢者の健康増進を支援してまいります。

 次に、介護保険事業について述べてまいります。
 町民の方々が地域において主体的に介護予防活動に取り組めるよう普及啓発事業のほか、地域住民との協働による地域介護予防活動支援事業を推進し、できる限り要介護状態の発生を遅らせることができるよう取り組んでまいります。
 また、認知症の方との共生社会の実現に向けて、認知症サポーター養成講座等の普及啓発事業を推進し、町民の方々が認知症の方に関する正しい知識及び理解を深められるよう取り組んでまいります。
 次に、障がい者福祉について述べてまいります。
 障がい者の方が、生活環境やニーズに応じて、住み慣れた地域で安心して自分らしく自立した生活ができるよう、基幹相談支援センターとの連携により相談支援体制の充実を図ってまいります。
 さらに、障がいの有無に関係なく、ともに活躍できる地域社会の実現に向けて、様々な事情により外出する機会が限られ、ひきこもり状態にある方々の社会参加を支援するための居場所づくりに取り組んでまいります。
 次に、社会保障について述べてまいります。
 国民健康保険特別会計については、引き続き特定健診の受診勧奨や自己負担の無償化を行うとともに、人間ドック、脳ドック、高齢者インフルエンザ予防接種助成事業の継続など、疾病予防や重症化予防のための事業を積極的に進め、病気の早期発見、早期治療により、増加する医療費の抑制に努めながら、健全運営を目指してまいります。

第4 育むまち

 はじめに、子育て支援の充実について述べてまいります。
 安心して子育てができる環境の確保のため、新たに、母子保健と児童福祉の各部門が一体となった「七飯町こども家庭センター」を設置し、これまでの「子育て世代包括支援センター」と「こども家庭総合支援拠点」の機能を維持した上で、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を一体的に行ってまいります。

 町内外で運営されている保育園・認定こども園等との連携を図り、保護者の就労状況や家庭状況など、個々のニーズに沿った保育選択の相談支援を継続するとともに、認可外保育施設を利用する0歳児から2歳児までの保育料負担を軽減するため、引き続き保護者の所得に応じて助成金を支給するなど、待機児童を発生させない対策を図ってまいります。
 また、親の就労の有無に関係なくこどもを預けられる「こども誰でも通園制度」について、令和8年度の本格実施に向け、町内保育施設と連携し体制整備を進めてまいります。
 保育人材を確保するため、町内の保育施設に新規就労される保育士や一定期間就労される保育士に対し、保育士等就労奨励金を支給し保育環境の充実を図ってまいります。

 放課後児童健全育成事業については、公営及び民営の学童保育クラブが連携し、受入れ可能数と利用者数の推移を見極めながら、待機児童を発生させない取組を進めるとともに、引き続き公営と民営の利用料差額の一部と多子世帯等に対する利用料の助成を実施し、保護者の負担を軽減してまいります。
 また、令和9年4月開所を目指し、建替え事業に着手した本町学童保育施設については、事業を実施する民間事業者と連携し、施設整備及び運営準備が円滑に進むよう支援してまいります。

 本町地区及び大中山地区の「子育て支援センター」並びに大沼多目的会館で実施している「ちびっこ広場」を、地域子育ての支援拠点として、子育てに関する相談や情報提供と親子交流などのイベントを開催しながら楽しく子育てができるように、子育て世代を支援してまいります。
 また、子育て支援アプリ「ななっぷる」を活用し、積極的に子育て情報を発信してまいります。
 支援が必要な児童や家庭に対しては「七飯町こども家庭センター」が庁内関係部局と連携し、こどもと保護者に寄り添った支援を展開するとともに、児童相談所、教育委員会、保育所などの関係機関との情報共有を図りながら、児童虐待の未然防止・早期発見・早期対応の対策強化に努めてまいります。
 また、多様な取組を行っている民間団体と連携し、こどもの居場所の確保など必要な支援を進めてまいります。

 次に、教育関係について述べてまいります。
 教育関係については、教育行政方針において、学校教育、生涯教育、スポーツ振興、学校給食など詳細に示されておりますので、尊重してまいります。

 こどもたちの学校生活における安全安心を確保するため、学校のエアコン設置と七飯中学校の長寿命化改修について、引き続き整備してまいります。
 学校給食費については、物価高騰による子育て世帯の負担を軽減するため、本年度においても完全無償化を実施してまいります。

 平和大使派遣事業については、平和の尊さ、大切さを体験してもらうための平和教育事業の一環として、町内中学生を広島市へ派遣してまいります。
 国際交流については、国際的視野に立つ豊かな人材を育成するため、大沼岳陽学校、七飯中学校、大中山中学校及び北海道七飯高等学校の中高校生を姉妹都市であるアメリカ・コンコード町へ派遣してまいります。
 また、6月にはコンコード町民による訪問団が来町する予定となっていることから、町民や関係団体と連携し、交流を深めてまいります。
 国内交流については、引き続き姉妹都市である香川県三木町との交流事業を実施してまいります。

第5 活気とにぎわいのまち

 はじめに、農林水産業の振興について述べてまいります。
 農業については、地域農業を持続させていくためにも「地域計画」により、目指すべき将来の農地利用として、次の耕作者へ円滑に引き継がれるように努めてまいります。
 担い手の確保に努め、また、集出荷予冷施設の活用により、引き続き産地の差別化と高品質で安全・安心な農畜産物の生産、出荷に努めてまいります。

 林業については、森林環境譲与税を財源として、カーボンニュートラルに貢献し、二酸化炭素吸収源となる民有林の整備に向けた事業や木育支援活動を実施してまいります。
 また、七飯町森林組合と連携し、各種町有林事業等を実施するほか、災害・防災対策の一環として、治山事業の要望を行ってまいります。

 大沼の内水面漁業については、生態系への影響が生じないように漁業資源の確保に注視しつつ、大沼環境保全対策協議会をはじめとした関係機関と連携し、水質改善に資する活動等を支援してまいります。

 次に、商工業について述べてまいります。
 商工業については、町内の経済及び雇用を支えるなど地域経済を担う中小企業の経営安定化を図るため、商工業経営安定資金貸付並びに商工業経営安定融資保証料補給金及び利子補給金の給付を継続的に実施するほか、七飯町商工会をはじめとする関係団体と連携を密にし、支援対策のさらなる強化に取り組んでまいります。

 また、地域経済の活性化や若者を対象とした起業促進を図るため、公益財団法人函館地域産業振興財団などと協力し、創業バックアップ事業をはじめとした各種事業に引き続き取り組むほか、函館地域経済牽引事業促進協議会における事業として、水資源など豊富な自然環境や交通利便性の高さなどの立地条件をアピールした企業誘致を進めるなど、地域経済の活性化に取り組んでまいります。

 物産振興については、ななえ町物産振興協議会の活動支援、地元特産品PRを目的として町外で開催される展示商談会、物産催事への支援など、特産品を活用した企画や情報発信に取り組み、魅力の向上と販路の拡大に取り組んでまいります。
 あわせて、ふるさと納税の拡大に向け、地元特産品の効果的なPRによる販路拡大や地域産品の開発、地域経済の活性化に向けた取組を推進し、安定した財源となるように、より一層努力してまいります。

 次に、観光について述べてまいります。
 観光については、大沼国定公園に代表される豊かな自然をはじめ、四季を通じたアクティビティや恵みあふれる食など様々な視点から七飯町の魅力を発信してまいります。
 引き続き、一般社団法人七飯大沼国際観光コンベンション協会及び一般社団法人ぐるり道南観光推進協議会、環駒ヶ岳広域観光協議会など関係団体と連携しながら、観光振興に取り組んでまいります。

 次に、雇用対策について述べてまいります。
 雇用対策については、町内の求人情報の周知などハローワークと連携していくほか、南渡島通年雇用促進支援協議会を通じて、通年雇用に必要な資格や技術向上を図るための技能講習などを実施するとともに、高齢者や障がい者などの雇用促進のため、特定求職者を雇用する事業主に対し、国の助成金に上乗せする支援を継続してまいります。
 また、七飯町シルバー人材センターと連携し、健康で働く意欲のある高齢者の多様な経験を生かし、安定した活動が継続できるよう支援してまいります。

第6 ともに歩むまち

 はじめに、協働のまちづくりについて述べてまいります。
 町民と行政と議会が協力し合い、自ら考え、行動し、暮らしの声を生かした町民主体の協働のまちづくりが必要であります。
 「町民の声を生かして創る」まちづくりを進めるため、地域懇談会(タウンミーティング)を開催し、町政運営に反映するためのご意見を拝聴し生かせるよう努めてまいります。

 次に、自立する自治体経営について述べてまいります。
 今後、少子高齢化に伴う社会保障費や老朽化が進む公共施設等の維持管理費に加え、物価高騰や賃上げによる物件費や人件費などの経常経費が更に増加することが見込まれるなど、七飯町の財政は、引き続き厳しい状況が続くものと予想されます。

 そのような中、当町においては、社会教育施設の建て替えや公共施設の長寿命化改修など、今後迎える大規模施設の整備に相当程度の財源を要することから、中・長期的な視点で事業の選別を行い、計画的で安定した財政運営に努めていく必要があります。
 今後も着実に行財政改革を推進し、将来にわたり持続可能な財政基盤の構築を図るため、「第7次行財政改革大綱(令和8年度から令和12年度)」の策定に向けて取り組んでまいります。

4 むすび

 以上、本年度の町政執行についての所信と主な施策の概要について、述べさせていただきました。

 「未来に向かって輝く七飯町」の実現に向け、時代のニーズを的確に捉え、創意工夫とチャレンジ精神による施策を「町民の声を生かして創る七飯町」として執行してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 議会議員の皆様及び町民の皆様と積極的に対話し、協調と融和によって全職員一丸となって町政を執行してまいりますので、皆様の力強いご支援ご協力をお願い申し上げ、本年度の施政方針といたします。


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